マンションの給湯器で「PS上方排気」と指定されている場合は、給湯器本体だけでなく、上側につながる排気筒や屋外側の排気口まで含めて適合を確認する必要があります。号数やメーカーが同じでも、PS前方排気・後方排気の機種をそのまま代わりに取り付けることはできません。
最初に確認したいのは、既設給湯器の型番・ガス種・号数・機能、そしてPS内の設置状況です。銘板と排気筒、PS扉を写真に撮り、施工者による寸法確認を受けたうえで、適合機種と必要部材を含む工事費込み価格を比較しましょう。
まず確認したい結論
PS上方排気とは、マンションのパイプシャフト内に給湯器を設置し、本体上部から排気筒を延長して所定の屋外排気口へ排気する方式です。交換は、同じ上方排気方式に対応し、ガス種・号数・給湯や追いだきなどの機能・本体寸法・排気延長条件が合う機種から選びます。型番末尾の記号だけでは判断せず、排気筒の径や長さ、曲がり数、PS開口、配管位置まで現地確認してから発注するのが基本です。
PS上方排気は、本体上部から排気を延長するマンション向けの設置方式
PSは、マンションの共用廊下などに設けられたパイプシャフトまたはパイプスペースを指します。給水・給湯・ガスなどの配管とともに、給湯器がPS内へ収められている建物も少なくありません。
PS上方排気は、PS扉内に設置した給湯器の上部へ排気筒を接続し、建物に設けられた所定の経路を通して排気を屋外へ出す方式です。給湯器の正面からそのまま排気するタイプとは、排気口の位置も必要な部材も異なります。
交換の基本は、現在と同じPS上方排気方式に適合する機種を選ぶことです。同じ24号や20号であっても、一般的な屋外壁掛形、PS前方排気形、PS後方排気形を上方排気の代わりに取り付けられるとは限りません。
リンナイでは「U」を含む型式がPS扉内上方排気型として展開されています。ノーリツにもPS扉内上方排気延長形があります。ただし、型番の表記ルールはメーカーや製品系列で異なるため、末尾記号だけで設置方式を確定しないでください。
上方排気で重要なのは、給湯器本体だけを箱のように入れ替えるのではなく、排気筒との接続を含めた一つの設備として確認することです。排気筒の径、延長距離、曲がり数、接続方法、屋外側の排気トップ、周囲との離隔距離などには、機種ごとの施工条件があります。
PS前方排気・後方排気との違いを見分ける
マンションのPS設置には複数の方式があります。呼び方はメーカーのカタログによって多少異なりますが、排気が給湯器のどこから出て、どの方向へ延長されるかを見ると整理しやすくなります。
| 設置方式 | 排気の位置・経路 | 見分けるときのポイント |
|---|---|---|
| PS標準設置 | 給湯器正面がPS開口部に露出し、本体正面から排気する | 本体前面と排気口を廊下側から確認しやすい |
| PS扉内前方排気延長 | 扉の内側に本体があり、排気筒が前方へ伸びて扉側の開口部から排気する | PS扉に丸形などの排気用開口が設けられていることがある |
| PS上方排気 | 本体上部に排気筒を接続し、上方向へ延長する | 扉を開けると、本体の上へ伸びる排気筒が確認できる |
| PS後方排気 | 本体後部から排気筒を延長する | 正面写真だけでは排気経路を確認できないことがある |
PS扉があることだけでは上方排気とは判断できません。扉に排気口が見える場合でも、前方排気延長なのか、別の位置へつながっているのかを確認する必要があります。反対に、廊下側から給湯器の正面が見えていても、それだけで一般的な屋外壁掛形と同じ仕様とは限りません。
排気方式を変えるには、PS扉や建物側の排気経路に手を加える可能性があります。PS扉や外観に関わる部分は共用部分として扱われることがあるため、居住者や施工会社の判断だけで変更できるとは限りません。交換では、既設と同じ排気方式を前提に適合機種を探すほうが現実的です。
最初に型番と設置状況を写真で確認する
見積もりを依頼する前に、既設給湯器の情報を集めておくと、対応機種の絞り込みが早くなります。PS上方排気では型番だけでなく、排気筒とPS全体が分かる写真も重要です。
本体の銘板で確認する項目
- 給湯器の型番
- 都市ガスまたはLPガスなどのガス種
- 号数
- 製造年月、または製造時期を確認できる製造番号
- メーカー名
銘板は本体前面や側面に貼られていることがあります。汚れや光の反射で文字が読みにくい場合は、少し離れた全体写真と、文字へ寄った写真を分けて撮ると確認しやすくなります。製造番号から製造時期を調べる必要がある機種では、番号を省略せずに撮影してください。
機能とリモコンも確認する
現在の給湯器が、給湯専用、追いだき対応のふろ給湯器、温水暖房に対応する給湯暖房機のどれに当たるかを確認します。浴室と台所のリモコン型番、浴槽の循環口、床暖房や浴室暖房乾燥機の有無も機能構成を判断する材料になります。
たとえば号数が同じでも、給湯専用機とふろ給湯器は代替関係にありません。暖房機能がある住宅で給湯・追いだきだけの機種を選ぶと、既設の暖房設備が使えなくなります。
見積もり時に役立つ写真
- PS扉を閉じた状態と、廊下側から見た全景
- PS扉を開けた状態の給湯器全体
- 給湯器上部と排気筒の接続部分
- 排気筒がどこへ伸びているか分かる写真
- 本体下部のガス・給水・給湯・追いだき・暖房配管
- 本体とPS枠の左右・上下の隙間
- 台所・浴室・暖房用リモコンの型番
手が届かない場所へ無理に入り込んだり、排気筒や配管を動かしたりする必要はありません。見える範囲を撮影し、奥側や上部の詳細は現地調査で確認してもらいましょう。
交換できる機種は排気方式・ガス種・機能・寸法で絞り込む
交換候補は、単に後継機種と表示された製品から選ぶのではなく、複数の条件を順番に照合します。特に古い給湯器では、現行品で本体寸法や配管位置が変わっていることがあります。
型番末尾の「U」「H」などの一文字だけで注文しないことが重要です。同じ記号でも、メーカーや製品系列によって読み方が異なる場合があります。製品カタログと工事説明書で、対象機種が「PS扉内上方排気型」または「PS扉内上方排気延長形」に該当することを確認します。
| 確認条件 | 交換時の考え方 |
|---|---|
| 排気方式 | 既設と同じPS上方排気に対応する機種を基本とする |
| ガス種 | 住宅へ供給されているガス種に合う仕様を選ぶ |
| 号数 | 現在の使用状況を踏まえ、原則として既設と同等を基準にする |
| 給湯・ふろ機能 | 給湯専用、オート、フルオートなど必要な機能を確認する |
| 暖房機能 | 床暖房や浴室暖房などがある場合は、接続系統と能力を確認する |
| 本体寸法 | PS枠内へ収まり、扉の開閉や点検作業に支障がないことを確認する |
| 排気延長条件 | 排気筒の径、長さ、曲がり数、接続部材が機種の条件内か確認する |
| 配管・電源 | 既設配管の位置、リモコン配線、電源位置との取り合いを確認する |
リンナイからノーリツなど、メーカーを変更できる場合もあります。ただし、排気接続部材や本体固定方法、配管位置、リモコンはメーカー間で共通とは限りません。既設の排気筒や取付金具をそのまま流用できることを前提にせず、交換する部材と残す部材を見積書で確認してください。
高効率型への変更を希望する場合は、上方排気に対応する製品設定だけでなく、運転時に発生する排水の処理経路も必要です。PS内や共用廊下へ任意に流せるものではないため、建物側の排水条件と管理規約を含めて調査します。
PS寸法と排気経路は施工者による現地確認が必要
写真と型番で候補機種を絞れても、発注前には現地確認が必要です。PS上方排気は、本体の横幅と高さだけでは適合を決められません。扉を閉じられるか、点検空間を確保できるか、排気筒を正しく接続できるかまで確認します。
現地で測る主な箇所
- PS内部の幅・高さ・奥行き
- PS扉と開口部の寸法
- 本体を固定する枠や金具の位置
- 排気接続口から既設排気経路までの位置関係
- 排気筒の径、長さ、曲がり数、状態
- 排気トップの形式と劣化状況
- ガス、給水、給湯、追いだき、暖房配管の位置
- 電源とリモコン配線の取り回し
排気筒の施工条件は製品ごとに定められています。既設より接続位置が数センチ変わるだけでも、継手の追加や排気筒の組み直しが必要になることがあります。排気筒の延長距離や曲がり数を施工者の経験だけで決めず、交換機種の工事説明書に照らして確認することが大切です。
排気筒の外れ、穴あき、著しい腐食、周辺のすす汚れ、運転中の異臭がある場合は、使用を続けずに点検を依頼してください。排気経路の不具合は、給湯能力だけの問題ではありません。自分でテープを巻いたり、排気筒を押し戻したりせず、ガス機器と排気設備を扱える施工者へ相談しましょう。
マンションでは、工事申請、作業可能時間、共用廊下の養生、ガスや水道の停止手順などが管理規約で決められていることがあります。PS扉の加工や外観変更が関わる場合は、管理会社や管理組合への事前確認も必要です。
工事費込み価格は「上方排気の追加工事」を含めて比較する
給湯器の広告価格には、一般的な標準工事だけが含まれている場合があります。PS上方排気では排気筒接続や専用部材、PSアダプターなどが追加になることがあるため、本体価格だけの比較では実際の支払額が分かりません。
見積もりは、適合機種を確定した後の工事費込み総額で比較します。写真だけの概算見積もりの場合は、現地調査後に金額が変わる条件も確認しておきましょう。
| 見積項目 | 確認内容 |
|---|---|
| 給湯器本体 | 正式型番、ガス種、号数、上方排気仕様、ふろ・暖房機能 |
| リモコン | 台所・浴室・暖房用の必要数と機種 |
| 上方排気部材 | 排気筒、接続部材、アダプター、排気トップなどの内訳 |
| 設置工事 | 本体固定、配管接続、排気接続、試運転を含むか |
| 追加作業 | 配管延長、固定枠の調整、排水工事、搬入や養生など |
| 撤去処分 | 既設給湯器と交換対象部材の撤去・処分を含むか |
| 申請関連 | 管理会社への工事書類作成や提出対応の範囲 |
| 保証 | 製品保証と工事保証の対象、期間、連絡先 |
「排気部材一式」とだけ書かれている場合は、どこまで交換するのかを確認します。既設排気筒を利用するのか、接続部から排気トップまで更新するのかで、費用も工事内容も変わります。再利用する場合は、交換機種への適合と排気筒の健全性をどのように確認したかを聞いておくと安心です。
また、現地調査なしで機種を決め、先に本体だけを購入すると、PSに収まらない、排気接続位置が合わない、必要部材が入手できないといった問題につながります。型番と写真を確認してから、現地調査、正式見積もり、発注の順に進めるのが安全です。
修理か交換かは製造時期と故障箇所を踏まえて判断する
お湯が出ない、追いだきできない、リモコンにエラーが出るといった症状があっても、直ちに本体交換が必要とは限りません。製造から比較的年数が浅く、故障箇所が限定され、交換部品を確保できる場合は修理を検討できます。
一方、家庭用給湯機器の設計上の標準使用期間は製造から10年が目安です。10年前後使用している機器は、一つの部品を修理しても別の箇所が劣化している可能性があります。補修用部品の保有期間にも限りがあるため、部品供給が終了している場合は交換へ進むことになります。
| 修理を検討しやすい状況 | 交換を比較したい状況 |
|---|---|
| 使用年数が比較的短い | 製造から10年前後またはそれ以上経過している |
| 故障箇所が特定されている | 複数の不具合や再発を繰り返している |
| 補修部品を確保できる | 必要な部品の供給が終了している |
| 修理費が限定的で他の状態も良好 | 修理費が高く、今後の追加修理も想定される |
| 排気筒や配管に問題がない | 本体とともに排気部材や配管の更新も必要 |
修理見積もりを依頼するときも、型番、製造時期、エラー表示、症状が起きる操作、異音や水漏れの有無を伝えます。エラー番号の意味やリセット操作はメーカーと機種によって異なるため、他機種の情報をそのまま試さないでください。
交換する場合は、故障した既設機と同じ能力・機能を維持する案に加え、今後必要な機能を整理した案を比較できます。ただし、機能を減らしたことで床暖房などが使えなくならないよう、接続されている設備を先に確認することが必要です。
相談時は型番・写真・希望時期をまとめて伝える
PS上方排気の交換相談では、最初から機種を一つに決める必要はありません。既設機の型番と設置写真を送り、同じ排気方式で交換できる候補を提示してもらうほうが確実です。
相談時には、銘板写真、PS扉の内外、給湯器上部の排気筒、下部配管、リモコンの写真に加えて、現在の不具合、交換希望時期、床暖房や浴室暖房の有無、管理会社への申請が必要かを伝えます。写真で判断できない箇所があれば、現地調査で測定する項目を確認しましょう。
正式見積もりでは、上方排気への適合確認、必要部材、追加工事の条件を明記してもらうことが選定の最終段階です。メーカー名や値引率だけで決めず、現在の設置条件に適合しているか、排気筒をどこまで更新するか、工事後の保証を受けられるかまで比べてください。
PS上方排気は特殊に見えますが、確認する順番は明確です。型番とガス種を調べ、排気経路と機能を写真で確認し、現地でPS寸法と排気条件を測り、その後に適合機種と工事費込み価格を比較します。この順序で進めれば、機種違いや追加費用の見落としを減らせます。
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設置タイプ別の工事費込み価格も確認
壁掛け、据え置き、マンションPS設置では交換できる機種や工事内容が異なります。既設給湯器に近い設置タイプを確認してください。
相談前に型番と設置写真を確認
本体全体、型番シール、リモコン、本体下の配管、設置スペースを撮影しておくと、修理か交換か、後継機や工事条件を確認しやすくなります。

無理な分解や自己修理はしない
ガス、水道、電気、排気に関わる内部作業は無理に行わず、異臭、ガス臭、水漏れ、異常燃焼などがある場合は使用を止めて専門業者へ相談してください。
相談から交換までの流れ
型番と設置状況を確認したうえで、交換機種・工事条件・費用を確認し、日程を調整して工事へ進みます。

給湯器 PS上方排気でよくある質問
PS上方排気から前方排気へ変更できますか?
既設が上方排気だからという理由だけで、前方排気へ自由に変更できるわけではありません。PS扉の開口、建物側の排気経路、管理規約、交換機種の施工条件を満たす必要があります。共用部分の加工を伴う可能性もあるため、原則は既設と同じ上方排気方式で交換候補を探し、変更を希望する場合は施工者と管理会社の両方へ確認してください。
給湯器型番のUやHは何を示していますか?
リンナイではUを含む型式がPS扉内上方排気型として展開されています。一方、Hを含む表記を含め、記号の意味はメーカーや製品系列によって異なります。記号だけで判断せず、メーカーの製品カタログや工事説明書で正式型番に対応する設置方式を確認する必要があります。
号数が同じなら交換できますか?
号数が同じだけでは交換できません。ガス種、PS上方排気への対応、給湯専用・追いだき・暖房などの機能、本体寸法、配管位置、排気筒の径・延長距離・曲がり数まで確認します。床暖房や浴室暖房がある場合は、暖房系統への対応も必要です。
排気筒や排気トップも交換が必要ですか?
必ず全交換になるとは限りませんが、既設部材を無条件で再利用することもできません。交換機種への適合、腐食や変形の有無、接続部の状態、排気延長条件を施工者が確認します。見積書では、交換する範囲と再利用する範囲を明確にしてもらいましょう。
見積もりではどの写真を送ればよいですか?
本体銘板、PS扉を閉じた全景、扉を開けた給湯器全体、本体上部と排気筒、排気筒の延長方向、本体下部の配管、台所・浴室・暖房用リモコンを撮影してください。給湯器とPS枠の隙間が分かる写真も役立ちます。見えない場所を撮るために排気筒や配管を動かす必要はありません。
まとめ
PS上方排気の給湯器は、同じ号数だけでなく、上方排気への対応、ガス種、給湯・追いだき・暖房機能、本体寸法、排気延長条件を合わせて選びます。型番末尾の記号だけでは設置可否を確定できません。
銘板、PS扉、給湯器上部の排気筒、下部配管、リモコンを撮影し、施工者による現地確認を受けましょう。適合機種が決まったら、排気部材や追加作業を含む工事費込み価格で比較し、製造から10年前後なら修理費と交換費の両方を確認するのが判断しやすい進め方です。

給湯器の修理・交換を相談する
現在の型番、表示内容、症状、設置場所が分かる写真があると確認が進めやすくなります。

参考にした公式情報
確認日:2026-08-21。仕様・操作・価格・制度は機種や時期によって変わるため、詳細は各公式ページをご確認ください。











