マンションの給湯器にある「PS後方排気」は、共用廊下側などのPS(パイプスペース・パイプシャフト)扉内に給湯器を設置し、本体後方へ接続した排気筒から燃焼排気を屋外へ出す方式です。前方排気型や上方排気型とは設置構造が異なるため、給湯器の号数や外形寸法が近いだけでは交換できません。
交換機種を選ぶときは、既設給湯器の銘板型番、型番末尾の記号、排気筒の接続方向、給湯能力、追いだき・暖房機能、PSの開口寸法、取付BOXなどを順番に確認します。ここでは、PS後方排気かどうかの見分け方から、交換候補の考え方、工事費込み見積り、修理と交換の判断までを解説します。
まず確認したい結論
PS後方排気の交換は、原則として既設と同じ排気方式に対応した機種から選びます。リンナイでは「PS扉内後方排気型(B)」と表記される機種群があり、従来型のふろ給湯器では16号・20号・24号、オート・フルオートの選択肢を確認できます。ただし、型番末尾が同じでも、排気筒径、延長距離、曲がり数、PS開口、取付ピッチなどの適合確認が必要です。まず銘板と設置状況の写真をそろえ、本体・リモコン・排気部材・取付部材・工事・処分費まで含む総額見積りを取りましょう。
マンション給湯器のPS後方排気とは
PS後方排気は、マンションのPS扉内に給湯器本体を収め、本体背面に接続した排気筒を通して燃焼排気を屋外へ導く設置方式です。給湯器の正面から排気口が見えにくく、PS扉を閉めた状態では一般的な扉内設置と見分けにくいことがあります。
交換では、既設と同じ「後方排気」に対応した給湯器を選ぶのが基本です。前方排気型や上方排気型は排気の接続位置と必要部材が異なります。外観、メーカー、号数が似ていても、排気方式が違えばそのまま取り付けられるとは限りません。
| 排気方式 | 排気の向き | 交換時の主な確認点 |
|---|---|---|
| PS後方排気 | 本体後方の排気筒へ接続 | 背面接続位置、排気筒径、延長距離、曲がり数、点検性 |
| PS前方排気 | 本体前方へ排気 | PS扉の開口位置、排気口と扉の納まり |
| PS上方排気 | 本体上方の排気筒へ接続 | 上部の接続位置、排気筒経路、必要な作業空間 |
リンナイでは、後方排気に対応する仕様を「PS扉内後方排気型(B)」と表記しています。ただし、型番記号の意味はメーカーやシリーズごとに確認する必要があります。「Bが付いているから、どの給湯器でも後方排気」という共通ルールではありません。
PS扉の見た目だけで判断せず、銘板型番と排気筒の接続方向をセットで確認することが、機種選定の出発点です。
最初に既設給湯器の型番と排気方向を確認する
交換候補を探す前に、現在取り付けられている給湯器の情報を確認します。最初から希望メーカーや価格帯だけで絞り込むと、後方排気に対応していない機種を選んでしまう可能性があります。
銘板でメーカー名と型番を読む
給湯器本体の前面や側面には、メーカー名、型番、製造情報などを記載した銘板があります。PS扉を通常の方法で開け、安全に見える範囲から確認し、型番全体を写真に残してください。末尾のアルファベットや数字も排気仕様、設置仕様、機能を判別する手掛かりになるため、省略せず記録します。
銘板が汚れて読めない場合は、設置されているリモコンの型番、取扱説明書、過去の工事書類も補助情報になります。ただし、リモコン型番だけで給湯器本体の排気方式を確定することはできません。
排気筒が背面に接続されているかを見る
PS後方排気では、給湯器の背面側に排気接続があります。設置状況によっては正面から接続部が見えないため、無理に本体の奥へ手を入れたり、排気筒やPS内の部材を外したりしないでください。写真で判別できない場合は、型番からメーカー資料を照合し、現地調査で確認します。
- 給湯器本体の銘板を、型番全体が読めるように撮る
- PS扉を開け、給湯器全体と周囲の空間を正面から撮る
- 給湯器の上部、下部、左右にある配管と取付状態を撮る
- 排気筒が見える場合は、接続位置と経路が分かるように撮る
- 浴室・台所リモコンの表示部と型番を撮る
この段階では、利用者が排気筒の寸法を正確に測ったり、機器を動かしたりする必要はありません。型番と写真を施工店へ送り、後方排気型かどうかを確認してもらう方法が安全です。
交換機種を決めるために設置条件を整理する
後方排気型であることが分かったら、給湯器の能力と機能、PS内の納まり、排気筒の条件を順に確認します。交換機種の適合は、カタログ上の本体寸法だけでは決まりません。
号数と給湯・追いだき・暖房機能
まず、既設給湯器が16号・20号・24号のどれに該当するか、給湯専用か、追いだき付きのふろ給湯器かを確認します。床暖房や浴室暖房などへ温水を送る機能がある場合は、その機能を引き継げる機種でなければなりません。
ふろ給湯器では、オートとフルオートの違いも確認します。交換後に必要な機能を整理することはできますが、機能を増やす場合は本体だけでなく、配管、リモコン、PS寸法などの確認範囲が広がります。
号数を大きくしたい場合も、希望だけで変更できるわけではありません。ガス配管や給水配管の条件、建物側の設備容量、PSの設置条件、管理規約を確認します。反対に号数を下げる場合は、同時にお湯を使用したときの使い勝手が変わるため、世帯人数や使用状況を踏まえて判断します。
PS開口・取付ピッチ・配管の位置
PS扉内では、給湯器を固定する位置、扉の開口、本体周囲の空間、給水・給湯・ガス・追いだき配管の位置が限られます。交換する本体がPS内に収まっても、固定位置や配管接続位置が合わなければ、取付部材や配管調整が必要です。
PS扉内設置用の取付BOXを使用している現場では、新しい機種に対応するBOXの要否と寸法も確認します。既設のBOXが残っているからといって、そのまま使えるとは限りません。腐食や変形の有無、メーカー指定、点検スペースを含めて施工店が判断します。
排気筒径・延長距離・曲がり数
後方排気型は、本体と建物側の排気経路を適切につなぐ必要があります。排気筒径、延長距離、曲がり数は機種ごとに施工条件が定められており、その範囲を外れる機種は選べません。
リンナイの従来型RUF-Aシリーズにある該当機種では、直径100mmの排気延長部材を使用し、延長7m・4曲がりまでという個別条件が示されています。これは該当シリーズの条件であり、ほかのシリーズやメーカーへ一律に当てはめる数値ではありません。既設排気筒の経路を確認したうえで、交換候補の施工説明に照らして判断します。
型番が後方排気対応でも、排気筒の条件やPSの寸法が合わなければ設置できません。型番照合と現場確認の両方が必要です。
PS後方排気で選べる給湯器の考え方
交換候補は、既設機のメーカー、シリーズ、排気仕様、号数、機能を起点に探します。既設がリンナイのB型であれば、まず同社の現行または取扱可能な後方排気対応機種を照合すると、条件を整理しやすくなります。
リンナイの従来型ふろ給湯器には、末尾「B」で示されるPS扉内後方排気型の機種群があり、16号・20号・24号、オート・フルオートの構成を確認できます。ただし、希望する号数と機能の組み合わせが常に流通しているとは限りません。確認日、在庫、販売状況によって手配可否が変わるため、正式な候補型番を見積書へ記載してもらいます。
| 比較項目 | 確認する内容 | 選定への影響 |
|---|---|---|
| 排気仕様 | PS扉内後方排気に対応しているか | 最優先。異なる排気方式は単純に置き換えられない |
| 号数 | 16号・20号・24号のどれか | 給湯能力と建物側条件に影響する |
| ふろ機能 | 給湯専用、オート、フルオートなど | 浴槽配管やリモコンの選定に影響する |
| 暖房機能 | 温水暖房の有無 | 必要な場合は対応機種が限られる |
| 本体・取付寸法 | PS開口、固定位置、配管接続位置 | 取付BOXや追加部材の要否に影響する |
| 排気延長条件 | 排気筒径、長さ、曲がり数 | 既設排気経路を使用できるかに影響する |
別メーカーへの変更を検討すること自体はできますが、メーカー名や同じ号数だけで互換性を判断することはできません。後方排気仕様、本体寸法、固定方法、配管位置、排気延長条件、必要部材を新旧型番で比較します。
「同じメーカーだから交換可能」「同じ末尾記号だから互換」と決めつけず、候補型番を一つずつ設置条件へ照合することが重要です。特定メーカーへの変更を先に決めるより、既設条件に適合する候補を並べ、そのうえで機能や価格を比較するほうが現実的です。
管理規約と工事可否を管理会社へ確認する
マンションのPSは、専有部分の給湯器が収められていても、扉や周囲の区画、排気経路などが共用部分に関係する場合があります。給湯器交換に事前申請が必要か、工事可能な曜日や時間帯に制限があるかを管理会社または管理組合へ確認してください。
確認したいのは、給湯器のメーカー変更や号数変更が認められるか、PS扉や取付枠の加工が可能か、排気方式の変更が認められるか、廊下の養生や搬入経路に指定があるかといった点です。工事申請書、仕様書、施工図、資格情報などの提出を求められることもあります。
とくに、後方排気から前方排気へ変更したい場合は注意が必要です。PS扉の開口や排気位置に関わる可能性があり、給湯器本体だけを交換して完了する話ではありません。建物側の承認と技術的な適合確認がそろわなければ進められません。
管理会社への確認前に、PS扉、取付枠、排気筒を加工しないでください。共用部分や建物の防火・排気計画に関係することがあるため、施工店と管理側の確認を経て工事内容を決めます。
工事費込み価格は内訳まで確認する
PS後方排気型の交換費用は、給湯器本体の販売価格だけでは判断できません。排気筒の接続や取付BOX、配管調整の内容が現場によって異なるため、正確な総額は型番照合と設置確認後の見積りで確認します。
広告や最初の概算が安く見えても、後方排気用部材、リモコン、取付部材、既設機の撤去処分などが別途であれば、支払総額は変わります。比較するときは、各社へ同じ写真と条件を渡し、含まれる作業範囲をそろえることが大切です。
- 給湯器本体と必要なリモコンの価格
- PS扉内設置用取付BOX、固定金具、接続部材の価格
- 後方排気用の排気筒部材と接続・調整作業
- 給水、給湯、ガス、追いだき、暖房配管の接続作業
- 既設給湯器と不要部材の撤去・処分費
- 搬入、共用廊下の養生、駐車などの付帯費用
- 試運転、排気状態、漏れ、リモコン動作の確認
- 現地調査後に追加費用が発生する条件
既設の排気筒を再利用できるとは限らない
排気筒は、見た目に問題がなくても、新しい給湯器の指定径や接続方法、延長条件に適合するかを確認しなければなりません。腐食、変形、接続部の状態、固定状況も確認対象です。適合しない排気筒を費用節約だけを理由に残す判断は避けます。
一方で、現場確認の結果、指定条件を満たす既設部分を利用できる場合もあります。再利用か交換かは一律ではないため、見積書に「どの範囲を残し、どの部材を交換するか」を記載してもらうと比較しやすくなります。
見積書では候補型番と追加条件を見る
見積書には、給湯器本体とリモコンの正式型番、排気方式、号数、オートまたはフルオートなどの機能、取付BOXや排気部材の品名を記載してもらいます。単に「同等品」「給湯器交換一式」とだけ書かれている場合は、何が含まれているか確認してください。
比較する金額は本体価格ではなく、設置を完了して使用できる状態までの工事費込み総額です。追加費用が考えられるなら、その発生条件も契約前に確認します。
不調があるときは修理と交換を並べて判断する
点火しない、お湯の温度が安定しない、異音がする、エラー表示が繰り返されるといった症状がある場合は、まず給湯器の型番、使用年数、表示内容、症状が起きるタイミングを記録します。型番ごとに部品の供給状況や修理可否が異なるため、症状だけで交換と決める必要はありません。
修理を検討するときは、修理可能か、必要部品を手配できるか、修理後もほかの箇所に不具合が出る可能性をどう見るかを確認します。交換を検討するときは、後方排気対応の候補があるか、排気筒と取付BOXまで適合を確認できるか、工事までの期間と総額はどうかを確認します。
| 判断材料 | 修理を検討しやすい状況 | 交換を検討しやすい状況 |
|---|---|---|
| 修理可否 | 故障箇所が特定でき、部品を手配できる | 部品がなく修理できない、または故障箇所が複数ある |
| 使用年数と状態 | 比較的使用期間が短く、ほかに目立つ不調がない | 長期間使用し、不具合を繰り返している |
| 費用 | 修理見積りが交換総額に比べて抑えられる | 修理費がかさみ、交換後の使用期間も含めて比較したい |
| 交換適合 | 交換候補の調査に時間が必要 | 後方排気型の候補と工事条件を確認できている |
判断では、修理見積りと交換の工事費込み総額を同じ時点で並べると整理しやすくなります。交換候補がすぐに手配できるとは限らないため、現在使用できている段階から型番と設置条件を確認しておく方法もあります。
ガス臭、排気の異常、通常とは異なる強い臭いや音がある場合は、使用を止めてください。自分で排気筒や本体を分解せず、ガス会社、メーカー窓口、管理会社または対応できる施工店へ連絡します。
相談前に型番と写真をそろえると確認が早い
PS後方排気の見積りでは、電話で「マンションの扉内にある」と伝えるだけでは、交換候補を確定できないことがあります。銘板と設置状態の写真を用意し、現在の機能と希望条件を文章で添えると、初期確認が進めやすくなります。
伝える内容は、既設給湯器のメーカー・型番、設置場所、後方排気と分かる情報、使用中の号数、追いだき・暖房機能の有無、不具合の症状、希望する交換時期です。号数や機能を変更したい場合は、その希望も最初に伝えます。
写真は、銘板のアップだけでなく、PS扉を開けた全景、給湯器の上下左右、配管、排気筒、リモコンを含めて撮ります。寸法測定を求められた場合は、どの部分を測るのか指示を受けてください。見えない背面を撮ろうとして機器を動かす必要はありません。
- 銘板型番と型番末尾の記号を確認する
- PS内の全景と排気筒の接続方向が分かる写真を用意する
- 号数、追いだき、暖房、オート・フルオートなどの機能を整理する
- PS開口、取付BOX、配管、排気経路を現地調査で確認する
- 管理規約と工事申請の要否を確認する
- 候補型番、部材、工事範囲を記載した総額見積りを比較する
この順番で進めれば、価格だけで適合しない機種を選ぶリスクを抑えられます。型番確認から始め、現場適合を確定してから総額を比較するのが、PS後方排気型を交換するときの基本です。
不調が出ている場合は、修理可否の確認と交換見積りを並行して進めても構いません。交換を相談するときは、後方排気型の選定経験があり、排気筒、取付BOX、管理規約まで確認できる窓口へ依頼すると、追加工事の有無を判断しやすくなります。
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設置タイプ別の工事費込み価格も確認
壁掛け、据え置き、マンションPS設置では交換できる機種や工事内容が異なります。既設給湯器に近い設置タイプを確認してください。
相談前に型番と設置写真を確認
本体全体、型番シール、リモコン、本体下の配管、設置スペースを撮影しておくと、修理か交換か、後継機や工事条件を確認しやすくなります。

無理な分解や自己修理はしない
ガス、水道、電気、排気に関わる内部作業は無理に行わず、異臭、ガス臭、水漏れ、異常燃焼などがある場合は使用を止めて専門業者へ相談してください。
相談から交換までの流れ
型番と設置状況を確認したうえで、交換機種・工事条件・費用を確認し、日程を調整して工事へ進みます。

給湯器 PS後方排気でよくある質問
PS後方排気から前方排気へ交換できますか?
給湯器本体だけを入れ替える単純な変更はできないことが一般的です。前方排気へ変更すると、PS扉の開口、排気位置、取付枠などに関わる可能性があります。建物側の管理規約と承認、メーカーの施工条件、現地の排気計画を確認しなければなりません。原則として、まず既設と同じ後方排気型から交換候補を探してください。
型番末尾のBはPS後方排気を意味しますか?
リンナイでは「PS扉内後方排気型(B)」と表記される機種群があります。ただし、Bの意味を全メーカー・全シリーズへ共通のルールとして当てはめることはできません。メーカー名と型番全体を確認し、該当機種の資料で排気仕様を照合してください。
PS後方排気のまま16号から20号・24号へ変更できますか?
後方排気対応機種に希望号数があっても、無条件で変更できるわけではありません。ガス・給水配管、建物側の設備条件、PS開口、排気筒、管理規約などの確認が必要です。お湯の使用量だけで決めず、施工店の現地調査と管理側の確認を経て判断します。
交換時に既設の排気筒や取付BOXを再利用できますか?
新しい給湯器の指定径、接続方法、延長距離、曲がり数、固定方法に適合し、腐食や変形などの問題がないことを確認できれば、既設部分を利用できる場合があります。ただし、見た目だけでは判断できません。再利用する範囲と交換する部材を見積書へ記載してもらいましょう。
PS後方排気の正確な工事費を確認するには何が必要ですか?
既設給湯器の銘板型番、PS内の全景、配管、見える範囲の排気筒、リモコンの写真を用意してください。そのうえで、本体、リモコン、取付BOX、排気部材、配管接続、撤去処分、養生、試運転まで含む総額見積りを依頼します。候補型番と追加費用の発生条件も書面で確認すると比較しやすくなります。
まとめ
PS後方排気は、マンションのPS扉内に設置した給湯器から、本体後方の排気筒を通して排気する方式です。前方排気や上方排気とは構造が違うため、既設の銘板型番と排気方向を確認し、原則として同じ後方排気に対応した機種から選びます。
交換では、号数や機能だけでなく、PS開口、取付BOX、配管位置、排気筒径、延長距離、曲がり数、管理規約まで確認が必要です。型番と設置写真をそろえ、候補機種と必要部材を照合したうえで、本体・排気部材・工事・撤去処分を含む総額を比較してください。不調がある場合は、修理可否と交換総額を並べて判断しましょう。

給湯器の修理・交換を相談する
現在の型番、表示内容、症状、設置場所が分かる写真があると確認が進めやすくなります。

参考にした公式情報
確認日:2026-08-21。仕様・操作・価格・制度は機種や時期によって変わるため、詳細は各公式ページをご確認ください。











