ただし、実際の負担者と工事の可否は、マンションごとの管理規約・使用細則・分譲時の図面などで決まります。給湯器本体だけでなく、排気筒、給排気カバー、配管、外壁への固定部などに共用部分が関係するため、交換前に管理会社または管理組合へ確認することが重要です。
まず確認したい結論
分譲マンションの給湯器交換は、原則として部屋の所有者である区分所有者が費用を負担します。ただし、管理規約で個別給湯器の扱いが定められている場合や、共用部と一体で工事する場合は扱いが変わることがあるため、見積もり前に管理会社・管理組合へ確認してください。
給湯器交換の費用は、まず誰が負担するのか
分譲マンションの住戸専用の給湯器が故障し、交換する場合は、原則として区分所有者が本体代と交換工事費を負担します。給湯器がその部屋だけで使われる設備であれば、管理費や修繕積立金を支払っていることだけを理由に、管理組合が無償交換してくれるとは限りません。
国土交通省の標準管理規約では、メーターボックスは共用部分の例に挙げられています。一方で、専有部分に関係する設備の整理では、給湯器・ボイラーなどが除外される考え方が示されています。そのため、給湯器が廊下側のPSやメーターボックス内にある場合でも、設置場所だけで管理組合負担と判断することはできません。
ここでいう原則は、マンションの標準的な区分の考え方です。最終的には、個別の管理規約、使用細則、分譲時の図面、過去の修繕に関する取り決めを確認してください。
専有部と共用部のどこで判断が分かれるか
給湯器交換の負担を考えるときは、本体がどこに置かれているかだけでなく、誰の住戸専用の設備なのか、どの部分が共用部分に関係するのかを分けて確認します。専有部分には、原則としてその住戸だけが使用する設備が含まれますが、共用部分内にある配管や構造体と一体になった部分は、別の扱いになることがあります。
たとえば、給湯器本体は住戸専用でも、排気筒や給排気カバーが共用廊下側の外壁・PSに関わるケースがあります。給水・給湯配管、ガス配管、電気配線、排気設備なども、住戸内だけで完結しているとは限りません。本体の所有区分と、交換時に触れる周辺部材の管理区分は、別々に確認する必要があります。
共用部分の管理は原則として管理組合の責任・負担ですが、専有部の設備でも、共用部と構造上一体で一体管理が必要な場合には、管理組合がまとめて管理できる仕組みが設けられることがあります。ただし、その場合でも専有部分に当たる交換費用まで自動的に管理組合負担になるわけではありません。
管理費や修繕積立金で払えるとは限らない理由
管理費はマンションの共用部分の維持管理などに、修繕積立金は共用部分の計画的な修繕などに充てられるのが基本です。住戸ごとの給湯器は専用設備として扱われることが多いため、管理費・修繕積立金を払っているから個別の給湯器も無償交換できる、とはいえません。
一方で、マンション全体の配管や設備を共用部工事と一体で更新する場合は、管理組合が工事をまとめて行うことがあります。その際も、専有部分に該当する給湯器や配管の費用を誰が負担するかは、管理規約、長期修繕計画、総会での決議や個別の取り決めによって確認します。規約上の根拠がないまま、修繕積立金から特定住戸の給湯器だけを支出することは、費用負担の公平性の面でも問題になり得ます。
「PS内だから共用部」「廊下側だから管理組合負担」「故障したから修繕積立金で修理できる」とは断定できません。管理会社や管理組合に、給湯器本体と関連部材の扱いを確認してから工事を進めてください。
交換前に管理会社・管理組合へ確認する項目
マンションでは、戸建てのように所有者が自由に機種を選んで交換できないことがあります。まず管理会社または管理組合に、給湯器交換の申請が必要かを確認します。申請が必要な場合は、見積書、機器の仕様書、設置写真、工事業者の情報などの提出を求められることがあります。
- 給湯器本体が専有部分扱いか、管理規約に特別な定めがあるか
- PS・メーターボックス、共用廊下、外壁への工事申請が必要か
- 使用できる給湯器のメーカー、号数、設置方式、排気方式に制限があるか
- 排気カバー、排気筒、配管カバーなどの交換・追加に承認が必要か
- 工事可能な曜日・時間、搬入経路、共用廊下の養生条件があるか
- 管理組合指定の業者や、事前に提出すべき書類があるか
特にPS設置や廊下側設置では、既設機器と異なる排気方式への変更が認められない場合があります。高機能な機種に交換したくても、排気方向や本体寸法、扉の開閉、点検スペースが合わなければ設置できません。「今付いている機種と同じ種類」を基準にしつつ、変更できる範囲を先に確認すると、見積もりの取り直しを減らせます。
見積もりに含まれる費用と、価格差が出る条件
給湯器交換の費用は、本体価格だけでは判断できません。見積書では、給湯器本体、リモコン、標準交換工事、既設機器の撤去・処分、配管接続、排気部材、搬入や養生に関する費用を分けて確認します。マンションではPS内の作業、狭い搬入経路、共用部の養生、申請書類の作成などが見積もりに影響することがあります。
| 見積項目 | 確認する内容 | 価格差が出る条件 |
|---|---|---|
| 給湯器本体 | 号数、給湯専用・追いだき付き・暖房付き、設置方式 | 機能、号数、メーカー、PS設置や壁掛けなどの型式 |
| リモコン | 台所・浴室の組み合わせ、既設との互換性 | 交換台数、機能、配線の状態 |
| 排気・設置部材 | 排気カバー、排気筒、配管カバーなど | 既設部材を流用できるか、追加部材が必要か |
| 工事・付帯作業 | 撤去、処分、搬入、養生、配管接続 | PS内の作業性、共用廊下、狭所、搬入経路 |
| 申請・調整 | 管理会社への申請、工事日時の調整 | マンション独自の書類や承認手続きの有無 |
調査時点のリンナイ総合カタログには、屋外壁掛・PS設置向け給湯専用機の本体希望小売価格として、16号16万8,300円、20号17万6,000円、24号19万1,400円(税込)の例があります。ただし、これは本体価格の例であり、リモコン、排気部材、交換工事、処分費などを含む総額ではありません。本体価格だけを見て、実際の支払額やマンションの交換費用相場を決めないようにしてください。
見積もり前に用意したい型番と設置写真
見積もりを正確にするには、既設給湯器の情報をできるだけ揃えます。本体の前面や側面にある型番ラベルを撮影し、リモコンの型番も確認します。型番が読めない場合は、ラベル全体が写る写真と、本体が設置されている状態の写真を用意すると、業者が設置方式を判断しやすくなります。
- 給湯器本体の型番ラベルと全体写真
- PS内、メーターボックス、廊下壁、ベランダなどの設置場所
- 本体の号数や、給湯専用・追いだき付き・暖房付きの別
- 台所・浴室リモコンの写真と型番
- 排気口の向き、排気カバー、排気筒、配管カバーの状態
- 本体周辺の扉、壁、配管、点検スペースの状況
給湯器の号数だけでなく、ガス種、排気方向、給水・給湯配管の位置、追いだき配管の有無まで確認します。現在の機種から機能を変更すると、リモコンや配管、排気部材も変わる可能性があります。マンションの承認対象になることもあるため、希望機種の型番を決める前に、既設機器と管理規約の条件を業者へ伝えます。
故障したときの連絡先と、交換を急ぐケース
給湯器が使えないときは、まず管理会社または管理組合に、個別給湯器の負担区分と工事申請の有無を確認します。賃貸に出している住戸では、区分所有者と賃借人の負担関係が賃貸借契約で別途定められていることがあるため、契約内容も確認が必要です。管理組合が一括交換を計画している場合は、個別に先行交換してよいかも尋ねます。
異臭、異音、排気不良、漏水がある場合は、原因を自己判断して使い続けないでください。ガス臭や排気に関する異常、給湯器からの漏水があるときは、使用を中止し、状況に応じてガス事業者・管理会社・施工事業者へ連絡します。緊急性がある場合は、通常の交換見積もりより安全確保を優先します。
修理で済むか交換するかは、症状だけでなく、使用年数、部品供給、修理費、再発リスク、入浴や暖房など必要な機能で判断します。業者には「修理可能か」「交換する場合に承認が必要か」「現行機種と同じ設置方式で提案できるか」をまとめて確認すると、管理会社との調整も進めやすくなります。
費用負担で迷ったときの判断の進め方
費用負担を明確にするには、最初から「管理組合が払うか」だけを聞くのではなく、給湯器本体、周辺部材、共用部に関わる工事を分けて確認します。管理規約の該当箇所、使用細則、図面、過去の一括修繕の案内があれば準備し、現在の型番と設置写真を添えて管理会社へ相談します。
そのうえで、同じ設置方式を前提に複数の見積もりを比較します。比較するのは総額だけではなく、本体型番、号数、リモコン、排気部材、標準工事に含まれる作業、追加料金の条件、処分費、保証の範囲です。最終的な負担者は「PSにあるか」ではなく、管理規約と設備の区分、そして工事内容で確認するのが基本です。
管理会社への確認文には、住戸番号、既設給湯器の型番、設置場所、症状、希望する工事時期を記載すると、専有部・共用部の確認や申請方法の案内を受けやすくなります。
あわせて確認したい関連記事

設置タイプ別の工事費込み価格も確認
壁掛け、据え置き、マンションPS設置では交換できる機種や工事内容が異なります。既設給湯器に近い設置タイプを確認してください。
相談前に型番と設置写真を確認
本体全体、型番シール、リモコン、本体下の配管、設置スペースを撮影しておくと、後継機や工事条件を確認しやすくなります。

無理な分解や自己修理はしない
ガス、水道、電気、排気に関わる内部作業は無理に行わず、異臭、ガス臭、水漏れ、異常燃焼などがある場合は使用を止めて専門業者へ相談してください。
相談から交換までの流れ
型番と設置状況を確認したうえで、交換機種・工事条件・費用を確認し、日程を調整して工事へ進みます。

よくある質問
分譲マンションの給湯器交換費用は誰が払いますか?
住戸専用の給湯器であれば、原則として区分所有者が本体代と交換工事費を負担します。ただし、管理規約や個別の取り決めで扱いが定められている場合は異なるため、管理会社・管理組合へ確認してください。
給湯器がPSやメーターボックス内にあれば管理組合負担ですか?
いいえ。メーターボックスが共用部分の例に挙がっていても、給湯器本体が直ちに管理組合負担になるわけではありません。設置場所だけでなく、管理規約と給湯器本体・関連部材の区分を確認します。
管理費や修繕積立金で給湯器を交換できますか?
管理費や修繕積立金を支払っていることだけを理由に、個別の給湯器を無償交換できるとは限りません。修繕積立金を使うには、規約上の根拠や総会決議などが必要になる場合があります。
給湯器交換前に管理会社へ何を聞けばよいですか?
工事申請の要否、使用可能な機種・号数・排気方式、工事可能な日時、搬入経路や共用廊下の養生条件、提出書類、指定業者の有無を確認します。既設給湯器の型番と設置写真も準備するとスムーズです。
マンションの給湯器交換費用は本体価格だけで決まりますか?
決まりません。本体のほか、リモコン、排気部材、配管接続、撤去・処分、搬入・養生、PS内などの作業条件、申請対応の有無で変わります。見積書では各項目を分けて確認してください。
給湯器から異臭や漏水があるときはどうすればよいですか?
使用を続けず、状況に応じてガス事業者、管理会社、施工事業者へ連絡してください。ガス臭、排気不良、漏水などがある場合は、通常の交換費用比較よりも安全確保を優先します。
交換・修理を決める前に確認したいこと
分譲マンションの給湯器交換は、原則として部屋の所有者である区分所有者が費用を負担します。ただし、管理規約で個別給湯器の扱いが定められている場合や、共用部と一体で工事する場合は扱いが変わることがあるため、見積もり前に管理会社・管理組合へ確認してください。
最終的には、現在の型番・使用年数・設置状況・必要機能をそろえ、同じ条件で工事込み総額を比較すると判断しやすくなります。

給湯器・ボイラーの修理・交換を相談する
型番、症状、使用年数、設置場所が分かる写真があると確認が進めやすくなります。

参考にした情報
メーカー・省庁・自治体などの公式情報を中心に確認しています。
- 国土交通省|公式情報
https://www.mlit.go.jp/common/001216243.pdf確認内容:製品仕様・交換条件・費用判断に関わる公式情報を確認しました。
- 国土交通省|公式情報
https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bt_000271.html確認内容:製品仕様・交換条件・費用判断に関わる公式情報を確認しました。
- 令和7年 マンション標準管理規約の見直し
https://www.mansion-info.mlit.go.jp/wp-content/themes/mansion_portal/file/siryo/10_symposium_m3epr6nx.pdf確認内容:製品仕様・交換条件・費用判断に関わる公式情報を確認しました。
- 参考資料1 建物の専有部分と共用部分の区分
https://www.mansion-info.mlit.go.jp/wp-content/uploads/2025/03/04_%E9%95%B7%E6%9C%9F%E4%BF%AE%E7%B9%95%E8%A8%88%E7%94%BB%E4%BD%9C%E6%88%90%E3%82%AC%E3%82%A4%E3%83%89%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%B3.pdf確認内容:製品仕様・交換条件・費用判断に関わる公式情報を確認しました。
- 資料2 マンション標準管理規約(単棟型)改正(案)及び前回からの修正点について
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001392221.pdf確認内容:製品仕様・交換条件・費用判断に関わる公式情報を確認しました。
- 国土交通省|公式情報
https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/const/content/001630186.pdf確認内容:製品仕様・交換条件・費用判断に関わる公式情報を確認しました。











