まず確認したい結論
都市ガス配管が既設ならガス給湯器、灯油タンク・配管を流用できる住宅や寒冷地なら灯油給湯器が有力です。燃料費だけでなく、本体・工事費、給油の手間、設置スペース、給湯と暖房の使用状況を含めた総額で比較してください。
ガス給湯器と灯油給湯器は、どちらが安いのか
結論からいうと、ガス給湯器と灯油給湯器のどちらが安いかは、住宅ごとに異なります。都市ガスがすでに使える住宅では、ガス給湯器が有力です。ガス配管やメーターが整っていれば、燃料転換のための大がかりな工事を避けられる可能性があります。
一方、現在も灯油を使っていて、灯油タンク・配管・設置台を流用できる住宅では、灯油給湯器の交換が初期費用を抑えやすい傾向があります。北海道、東北、北陸などの寒冷地では灯油の家庭利用が大きく、給湯だけでなく温水暖房も同じ機器でまかなっているケースがあるため、給湯器だけの燃料費で判断しないことが大切です。
「ガスなら必ず安い」「灯油なら必ず得」とは言えません。ガスは都市ガスとLPガスで料金体系が異なり、灯油も購入方法や使用量によって負担が変わります。まず、現在の燃料、地域の供給状況、給湯器の使い方を確認してから比較しましょう。
初期費用は本体価格ではなく、燃料を変える工事まで見る
同じ燃料の後継機へ交換する場合は、既設の配管、設置台、排気方向、タンクなどを利用できる可能性があります。ただし、型番が同じ系統でも、給湯能力、追いだきの有無、暖房機能、設置方式が変わると、部材や工事内容が追加されることがあります。
灯油給湯器からガス給湯器へ変更する場合は、ガス給湯器本体と標準工事だけを見てはいけません。都市ガスが供給されているか、敷地への引込や屋内配管が必要か、メーターの位置を変更するか、既存の灯油タンクを撤去するか、設置場所を変えるかを確認します。燃料転換では、追加配管・撤去・設置条件を含めた見積もりが実際の初期費用です。
反対に、ガス給湯器から灯油給湯器へ変更する場合も、灯油タンクの新設場所、給油車が近づけるか、灯油配管の経路、タンクの劣化対策などが必要です。都市ガス未供給地域では都市ガス給湯器へ変更できないため、LPガスか灯油かを比較することになります。
| 確認する項目 | ガス給湯器 | 灯油給湯器 |
|---|---|---|
| 既設設備を流用できる条件 | ガス配管・メーター・排気条件が合うか | 灯油タンク・配管・設置台が使えるか |
| 燃料転換時の追加工事 | ガス引込、屋内配管、撤去など | タンク新設、配管、給油スペース確保など |
| 見積もりで見る範囲 | 本体、標準工事、配管、排水、撤去 | 本体、標準工事、タンク、配管、撤去 |
| 使用時の手間 | 給油は不要。ただしLPガスは料金明細の確認が必要 | 給油、残量管理、タンクの状態確認が必要 |
高効率ガス給湯器のエコジョーズは、メーカー公表で給湯熱効率95%とされています。ただし、従来型と異なりドレン排水経路が必要です。排水先を確保できない設置環境では追加工事が発生することがあるため、本体価格だけで比較せず、現地の排水条件を見積もりに反映してもらいましょう。
燃料費は都市ガス・LPガス・灯油を分けて比べる
ガスと灯油のランニングコストを比べるときは、「ガス」とひとくくりにしないことが重要です。都市ガスは導管から供給されますが、LPガスは販売事業者ごとに料金設定が異なります。LPガス料金には、燃料の従量分だけでなく、基本料金や配送・保安などに関わる費用が含まれる場合があります。
そのため、LPガスについては地域の一般的なイメージだけで灯油との優劣を決められません。手元の検針票や請求書で、基本料金、従量単価、使用量を確認してください。灯油も、購入時期、配達の有無、家庭内で給湯だけに使っているか、暖房にも使っているかで年間負担が変わります。
比較に使うのは燃料単価だけでなく、実際の年間使用量です。直近のガスまたは灯油の請求書、使用量が分かる明細、家族人数、入浴頻度をそろえると、給湯器交換後の負担を検討しやすくなります。機器の熱効率や給湯温度の設定も影響するため、単価だけから将来の光熱費を断定するのは避けましょう。
LPガスは販売事業者によって料金が異なります。見積もりを比較するときは、機器代と工事費だけでなく、現在の契約単価と基本料金を確認し、都市ガス・LPガス・灯油を同じ条件で計算できるようにしてください。
使い勝手と設置環境には、それぞれ違いがある
ガス給湯器の大きな利点は、灯油の購入や給油が不要になることです。タンクの残量を気にせず使える一方、LPガスではボンベの設置場所や交換、契約先の料金体系を確認する必要があります。都市ガスでも、供給エリア内であることと、実際に住宅へ引込可能であることは別に確認してください。
灯油給湯器は、給油の手間と保管設備が必要です。灯油タンクの残量を管理し、給油しやすい位置にタンクがあるか、タンクや配管に劣化がないかを確認します。特に既存設備を使い続ける場合は、給湯器本体だけでなく、タンクの状態も交換判断に含める必要があります。
寒冷地では、給湯器が温水暖房や浴室暖房などを兼ねていることがあります。この場合、給湯器だけを別燃料へ変更すると、暖房回路や能力の確認が必要です。給湯と暖房を一台でまかなっている住宅は、給湯器の号数だけで選ばないでください。現在の型番、暖房機能、接続している端末機器を確認し、同等の用途を維持できるかを見積もり時に伝えましょう。
現在の設備から判断するために確認したい情報
最初に確認するのは、給湯器本体の前面や側面にある銘板です。メーカー名、型番、燃料種別、給湯能力、製造年が分かれば、後継機や必要な能力を調べる手がかりになります。リモコンに追いだきや暖房の操作ボタンがある場合は、その写真も残しておくと機能の確認に役立ちます。
次に、給湯器の周囲を確認します。設置場所の全体、配管の接続部分、排気口、灯油タンク、ガスメーター、給水・給湯配管が写る写真を用意してください。灯油からガスへ変える場合はタンクの撤去位置やガス配管の経路、エコジョーズを検討する場合はドレン排水の取り回しが重要になります。
見積もりでは、次の項目を分けて記載してもらうと比較しやすくなります。
- 給湯器本体とリモコンの費用
- 標準交換工事の範囲
- 既存給湯器・灯油タンクなどの撤去処分費
- ガス配管、引込、メーター関連の工事費
- 灯油タンクや配管の新設・交換費
- ドレン排水、設置台、配管延長などの追加費用
- 追いだき・暖房機能を含めた能力と対応範囲
「本体・標準工事込み」の表示だけでなく、燃料転換に必要な追加工事が含まれているかを確認しましょう。複数の見積もりを比べる場合も、片方だけ撤去費や配管費が別計上されていると、安く見えてしまいます。
修理か交換か、燃料変更まで検討する目安
突然お湯が出ない、異音や異臭がする、燃焼が安定しないといった症状がある場合は、まず使用を止め、安全を確認してください。ガス機器の設置や変更は保安に関わるため、資格や法令上の要件を無視したDIYや無資格施工を前提にしてはいけません。ガス臭がある場合は、火気や電気スイッチに触れず、供給事業者や専門業者へ連絡します。
ガス臭、すす、異常な排気、灯油漏れ、タンクや配管の明らかな破損がある場合は、使い続けずに点検を依頼してください。燃料変更を伴う交換は、供給設備と機器の両方を確認できる事業者へ相談しましょう。
修理で直せる可能性がある場合でも、給湯器本体だけでなく、タンク、配管、リモコン、暖房回路を含めて状態を見ます。既存の燃料設備を流用できるなら同じ燃料の後継機が合理的な場合がありますが、給油の負担をなくしたい、タンクの設置場所を確保できない、ガス配管がすでに整っているといった事情があれば、燃料変更を含めて比較する価値があります。
補助制度は対象機器と条件を契約前に確認する
高効率給湯器を検討する場合、国の給湯省エネ2026事業のような制度が関係する可能性があります。ただし、通常のガス給湯器や石油給湯器への交換が一律に補助対象となるわけではありません。対象型番、工事条件、申請方法、予算残額などの確認が必要です。
補助制度を利用できるかもしれないという理由だけで、機器や業者を先に決めるのは避けましょう。契約前に対象機器か、申請者や工事の条件を満たすか、申請を誰が行うか、補助を受けられなかった場合の扱いを確認してください。制度は時期や予算によって変わるため、見積もりに記載された補助額をそのまま確定額と考えないことも大切です。
家庭に合う給湯器を選ぶための結論
都市ガスの引込があり、給油の手間をなくしたい家庭では、ガス給湯器を中心に検討しやすくなります。エコジョーズを選ぶ場合は、給湯熱効率だけでなく、ドレン排水の工事条件も確認します。LPガスの場合は、販売事業者の基本料金と従量単価を確認し、灯油の実使用量と比べて判断してください。
灯油タンクや配管を問題なく使え、給湯に加えて温水暖房も利用している家庭では、灯油給湯器の後継機が適する可能性があります。寒冷地ほど暖房を含めた年間使用量が大きくなりやすいため、給湯だけをガス化した場合の費用ではなく、住宅全体のエネルギー利用で比較することが必要です。
最終的には、現在の型番と設置状況、都市ガス・LPガスの別、灯油タンクの状態、年間使用量をそろえ、同じ条件の見積もりを比較するのが確実です。燃料費だけでなく、初期工事費、給油の手間、設置スペース、暖房機能まで含めると、自宅にとっての「安い給湯器」を判断しやすくなります。
あわせて確認したい関連記事
相談前に型番・タンク・配管の写真を確認
本体全体、型番ラベル、灯油タンク、送油管、配管、排気、設置スペースを撮影すると、修理・交換・追加工事の切り分けに役立ちます。
無理な分解や自己修理はしない
燃料、電気、水道、排気に関わる内部作業は無理に行わず、灯油臭、黒煙、異常燃焼、水漏れなどがある場合は使用を止めて専門業者へ相談してください。
相談から交換までの流れ
型番と設置状況を確認したうえで、交換機種・工事条件・費用を確認し、日程を調整して工事へ進みます。

よくある質問
ガス給湯器と灯油給湯器は、結局どちらが安いですか?
一律には決められません。都市ガスが既設の住宅ではガス給湯器、灯油タンクや配管を流用できる住宅では灯油給湯器が有力です。LPガスは販売事業者ごとに料金が異なるため、基本料金・従量単価・実際の使用量を確認して比較します。
灯油給湯器からガス給湯器へ交換するとき、何の費用が追加されますか?
ガスの供給可否、引込や屋内配管、メーター、設置位置、既存灯油タンクの撤去、配管や排気条件などの費用が追加される可能性があります。本体と標準工事だけでなく、燃料転換に必要な工事を含めて見積もりを確認してください。
LPガスは灯油より高いのでしょうか?
LPガスだから必ず高い、または安いとは断定できません。LPガスは販売事業者ごとに料金設定が異なり、基本料金や配送・保安などの費用も関係します。請求書で契約単価と使用量を確認し、灯油の実使用量と同じ条件で比べます。
寒冷地では灯油給湯器を選んだ方がよいですか?
寒冷地では灯油の家庭利用が大きい傾向がありますが、必ず灯油が得とは限りません。給湯だけでなく温水暖房も同じ機器でまかなっているか、給油場所を確保できるか、タンクや配管を流用できるかを確認して判断します。
エコジョーズへの交換で注意することは何ですか?
エコジョーズはメーカー公表で給湯熱効率95%ですが、ドレン排水経路が必要です。既設状況によっては追加工事費が発生するため、排水先や配管経路を現地で確認してもらいましょう。
補助金を使えばガス給湯器や灯油給湯器が安くなりますか?
高効率給湯器を対象とする制度があっても、通常のガス給湯器・石油給湯器への交換が一律に対象となるわけではありません。対象型番、工事条件、申請方法、予算残額を契約前に確認してください。
交換・修理を決める前に確認したいこと
都市ガス配管が既設ならガス給湯器、灯油タンク・配管を流用できる住宅や寒冷地なら灯油給湯器が有力です。燃料費だけでなく、本体・工事費、給油の手間、設置スペース、給湯と暖房の使用状況を含めた総額で比較してください。
最終的には、現在の型番・使用年数・設置状況・必要機能をそろえ、同じ条件で工事込み総額を比較すると判断しやすくなります。
給湯器・ボイラーの修理・交換を相談する
型番、症状、使用年数、設置場所が分かる写真があると確認が進めやすくなります。
参考にした情報
メーカー・省庁・自治体などの公式情報を中心に確認しています。
- 経済産業省|公式情報
https://www.enecho.meti.go.jp/statistics/petroleum_and_lpgas/pl008/LPG_kakakusuii.pdf確認内容:仕様・条件・安全上の注意など、記事内の事実確認に使用しました。
- 経済産業省|公式情報
https://www.enecho.meti.go.jp/about/energytrends/202506/html/s-1-4.html確認内容:仕様・条件・安全上の注意など、記事内の事実確認に使用しました。
- 経済産業省|公式情報
https://www.enecho.meti.go.jp/about/whitepaper/2017html/2-1-4.html確認内容:仕様・条件・安全上の注意など、記事内の事実確認に使用しました。
- 経済産業省|給湯省エネ2026事業
https://kyutou-shoene2026.meti.go.jp/確認内容:仕様・条件・安全上の注意など、記事内の事実確認に使用しました。
- 経済産業省|公式情報
https://www.enecho.meti.go.jp/statistics/petroleum_and_lpgas/pl002/results.html確認内容:仕様・条件・安全上の注意など、記事内の事実確認に使用しました。
- 経済産業省|公式情報
https://www.enecho.meti.go.jp/category/resources_and_fuel/distribution/sskasochi/pdf/sskasochi_chosa_2023.pdf確認内容:仕様・条件・安全上の注意など、記事内の事実確認に使用しました。







