特に石油給湯器からの変更では、ガス設備の新設や変更に加えて、灯油タンクの撤去・処分が必要になることがあります。見積もりでは本体価格だけでなく、燃料転換に伴う工事項目を分けて確認することが大切です。
まず確認したい結論
石油給湯器からガス給湯器へ交換できます。ただし、ガスの供給可否、ガス配管・メーター、設置方式、排気、ドレン、灯油タンク撤去などを確認する必要があり、通常の給湯器交換より工事内容が増える場合があります。
石油給湯器からガス給湯器への交換はできる?
石油給湯器からガス給湯器への交換は可能です。ただし、既存の石油給湯器を外してガス給湯器を設置するだけの単純な交換とは限りません。石油給湯器は灯油を燃料にしますが、ガス給湯器は都市ガスまたはLPガスを使うため、燃料を供給する設備そのものが変わります。
最初に確認するのは、住宅で利用できるガスの種類と供給方法です。都市ガス地域であっても、敷地前の本管状況や敷地内への引込可否を確認しなければならない場合があります。LPガスの場合は、容器を置く場所、供給契約、ガス配管のルートをLPガス事業者と相談します。
交換できるかどうかは、給湯器本体の型番だけでは判断できません。現在の設置状況と、ガスを供給できる条件を現地で確認したうえで、機種と工事内容を決めます。
費用は本体価格だけで比較しない|見積書で確認したい工事項目
石油からガスへの変更費用は、給湯器本体と通常の交換工事費だけでは判断できません。ガス配管やガスメーターの対応、給水・給湯・追いだき配管の変更、排気部材、設置架台、電源、灯油タンクの撤去などが必要になることがあるためです。
通常のガス給湯器交換では、東京ガスの案内に給湯専用40,700円から、ふろ給湯器49,500円からという基本工事費の例があります。ただし、これは既存状況に応じた追加工事前の目安です。石油給湯器からの燃料転換では、ガス配管新設などの追加項目が発生する可能性があり、この金額だけで総額を見積もることはできません。
また、東京ガスネットワークが示す新築標準モデルでは、敷地内ガス工事の例として188,540円(税込、2026年1月1日以降の単価)が掲載されています。ただし、これは新築標準モデルの例であり、石油給湯器からの転換費用そのものではありません。道路本管工事、給湯器本体、外壁穴あけなども含まれないため、個別の交換費用の相場として流用しないでください。
見積書では「給湯器本体・リモコン」と「燃料を切り替えるための工事」を分けて確認しましょう。合計金額だけでなく、どの工事が必須で、どれが設置条件による追加項目なのかを説明してもらうと比較しやすくなります。
石油給湯器からガス給湯器へ交換する場合、見積書には次のような項目が含まれる可能性があります。すべての住宅で必要になるわけではありませんが、記載がない項目についても「不要なのか、別見積もりなのか」を確認しておくと、契約後の追加費用を防ぎやすくなります。
| 項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 給湯器・リモコン | 給湯専用、追いだき、自動湯はり、暖房連動の有無と選定機種 |
| ガス配管・引込 | 都市ガスまたはLPガスを敷地内の給湯器まで供給できるか |
| ガスメーター | 選ぶ号数や他のガス機器との使用状況により交換が必要か |
| 給水・給湯・追いだき配管 | 既存配管を使える部分と、延長・変更が必要な部分 |
| 排気・設置部材 | 壁掛型・据置型などの設置方式、排気方向、架台や部材の要否 |
| 灯油設備の撤去 | 灯油タンク、残油、配管の撤去・処分方法と費用 |
| ドレン・電源 | エコジョーズのドレン排水や電源の取り回しをどうするか |
灯油タンクを使わなくなるだけで、撤去費用が自動的に含まれるとは限りません。タンクを残すのか、撤去するのか、残油の処理をどうするのかを、見積もりの段階で明確にしてください。屋外のタンクだけでなく、給湯器までの灯油配管も撤去対象になるか確認が必要です。
都市ガス・LPガスの供給条件と、給湯機能・号数の選び方
都市ガスの場合
都市ガスを使う場合は、地域に都市ガスの導管があるかだけでなく、敷地内へ引き込めるか、給湯器の設置場所まで配管を通せるかを確認します。敷地内のガス管やガス栓工事が必要になる場合があり、道路側の本管状況や引込条件によって工事内容が変わります。
既存住宅では、給湯器の位置とガスの引込位置が離れていることもあります。配管を屋外に露出させるのか、既存の配管ルートを使えるのか、外壁貫通や保温が必要かによって見積もりが変わるため、平面図や現地写真だけでなく、現場での確認が重要です。
LPガスの場合
LPガスでは、ガス容器の設置場所と給湯器までの配管計画を確認します。供給事業者との契約や、容器置場の安全な確保も関係するため、給湯器業者だけでなくLPガス事業者への確認が必要になる場合があります。
都市ガス用とLPガス用の給湯器は、同じ外観でも使用するガスの種類が異なります。ガス種を確認せずに機種を注文したり、自己判断で接続したりしてはいけません。見積もり時には、供給されるガスの種類を明記してもらい、対応する機器かを確認してください。
現在の使い方に合う機能と号数を選ぶ
燃料を石油からガスへ変えるときは、現在使っている給湯機能を整理します。給湯専用なのか、追いだきができるふろ給湯器なのか、自動湯はりを使っているのか、床暖房や浴室暖房などの暖房機能と連動しているのかを確認してください。
給湯器の号数は、同時に使えるお湯の量を選ぶときの判断材料です。一般的に16号、20号、24号などがあり、家族人数やシャワーと台所を同時に使う頻度などを踏まえて選びます。ただし、必要な号数は住宅の使い方だけで決めず、既存機器の能力やガス供給条件も含めて業者に確認します。
号数を上げる場合は、ガスメーターの交換が必要になることがあります。ほかのガス機器を同時に使用する家庭では、給湯器だけでなく住宅全体のガス使用量を見て判断するためです。「今と同じ号数なら必ずそのまま使える」「大きい号数にすれば必ず快適になる」とは限りません。
暖房連動タイプを選ぶ場合は、暖房配管やリモコン、接続機器との適合も確認が必要です。石油給湯器で使っていた機能をガス給湯器でも維持したい場合は、給湯器の銘板とリモコンの写真を提示し、現在の使い方を具体的に伝えましょう。
設置場所・排気・配管はどう変わる?
石油給湯器は屋外据置型が多い一方、ガス給湯器には壁掛型、据置型、集合住宅のパイプスペース設置型などがあります。既存の石油給湯器が置かれている場所に、同じ向き・同じ寸法でガス給湯器を設置できるとは限りません。
確認するのは、機器の幅・高さ・奥行きだけではありません。給湯器の周囲に必要な離隔、排気の方向、窓や換気口との位置関係、配管の取り出し位置、メンテナンススペースも確認します。既存の煙突や排気筒があっても、ガス給湯器でそのまま流用できるとは限りません。
高効率ガス給湯器のエコジョーズを選ぶ場合は、運転時に発生するドレン水の排水処理も必要です。排水先や配管ルートを現地で確認し、設置工事説明書に沿って施工できるかを判断します。
排気位置やガス配管を自己判断で変更したり、既存の煙突・配管を無条件に流用したりしないでください。ガス機器は、給排気と設置方式を含めて対応できる施工体制の事業者に現地調査を依頼することが安全上の前提です。
マンションや集合住宅では、PS内の寸法、排気方向、扉や周囲の構造に加え、管理組合や管理会社への工事申請が必要になることがあります。共用部分に関係するガス配管や外壁の貫通がある場合は、発注前に規約と申請手順を確認してください。
灯油タンクの撤去と、見積もり前に準備する情報
ガス給湯器へ変更すると、給湯のための灯油使用はなくなるため、灯油タンクを今後も残す必要があるかを検討します。タンクを撤去する場合は、本体だけでなく、残油、灯油配管、固定金具、基礎や設置架台の状態も確認対象になります。
タンク内に残った灯油の扱いは、業者によって対応範囲が異なることがあります。撤去・運搬・処分が見積もりに含まれているか、残油処理が別料金か、タンクを残す場合に配管をどのように処理するかを確認してください。
給湯器を交換した後も、石油暖房機器など別の設備で灯油を使う家庭では、タンクを撤去できない場合があります。給湯器だけでなく、住宅内の灯油使用機器を一覧にしてから撤去の要否を決めると、後から設備を使えなくなるトラブルを避けられます。
現地調査や見積もりをスムーズにするため、次の情報を準備します。写真だけで工事の可否や最終金額が決まるわけではありませんが、業者が必要な確認事項を把握しやすくなります。
- 石油給湯器本体の全景
- 本体の銘板にあるメーカー名・型番・製造年などの表示
- 給湯器周辺の配管、煙突・排気筒、電源の写真
- 灯油タンクの全景、固定状態、給湯器までの配管
- 台所・浴室リモコンの写真
- 浴室、台所、洗面所などで同時にお湯を使う状況
- 都市ガスまたはLPガスの希望
- 追いだき、自動湯はり、暖房機能を継続するか
集合住宅では、PSの扉を開けた状態の寸法、排気口の位置、管理規約や工事申請の要否も確認します。戸建てでも、給湯器と灯油タンクの距離、ガス配管を通せそうなルート、外壁の穴あけが必要になりそうな場所を業者に見てもらうと、見積もりの前提がそろいやすくなります。
初期費用と今後の燃料費を分けて比較する
石油からガスへ変更する理由が燃料費の節約であっても、ガスに変えれば必ず光熱費が下がるとは言えません。地域や契約している料金、都市ガスかLPガスか、家族人数、湯の使用量、給湯器の効率によって結果が変わるためです。
比較するときは、まず交換時に必要な初期費用を整理し、その後に毎月の燃料使用量と単価を比較します。石油給湯器の灯油使用量、現在の灯油単価、ガスの料金表、給湯器の効率など、手元で確認できる情報をそろえると、単純なイメージではなく家庭の使用実態に近い比較ができます。
ガス温水機器には省エネ基準があり、高効率型を選ぶことは燃料使用量を抑える選択肢になります。一方で、高効率型は設置条件によってドレン排水工事が必要です。初期費用とランニングコストの両方を見て、数年使う前提で検討してください。
「本体が安い」という理由だけで決めず、ガス配管・タンク撤去・排気・ドレンなどを含めた総額で比較するのが基本です。補助制度についても、対象機器や地域、申請時期によって条件が変わり、一般的なガス給湯器単体が対象外の場合があります。利用できると決めつけず、自治体や制度の公式案内、施工業者の申請対応を確認してください。
交換を依頼する前に決めておきたいこと
業者へ依頼する前に、見積書の機種名とガス種、号数、給湯機能を確認します。給湯専用から追いだき付きへ変えるのか、現在のリモコンを交換するのか、暖房連動を維持するのかによって必要な工事は変わります。
次に、ガス配管の新設・延長、ガスメーター、給水・給湯・追いだき配管、排気部材、ドレン、電源、設置架台、灯油タンク撤去と残油処理が見積書にどう記載されているかを確認します。「一式」とだけ書かれている場合は、含まれる作業と別途になる条件を質問してください。
工事日についても、必ず短時間で完了するとは断定できません。ガスの供給可否、申請、部材の手配、天候、設置場所、タンク撤去の有無などで変わるため、使用できない期間と、追加確認が必要な場合の対応を事前に聞いておくと安心です。
石油給湯器からガス給湯器への交換は、燃料を変える工事だからこそ、現地調査と見積もりの内訳が重要です。型番や写真を準備し、現在の給湯機能と希望するガス種を伝えたうえで、設置条件と初期費用、将来の燃料費を分けて比較しましょう。
あわせて確認したい関連記事
相談前に型番・タンク・配管の写真を確認
本体全体、型番ラベル、灯油タンク、送油管、配管、排気、設置スペースを撮影すると、修理・交換・追加工事の切り分けに役立ちます。
無理な分解や自己修理はしない
燃料、電気、水道、排気に関わる内部作業は無理に行わず、灯油臭、黒煙、異常燃焼、水漏れなどがある場合は使用を止めて専門業者へ相談してください。
相談から交換までの流れ
型番と設置状況を確認したうえで、交換機種・工事条件・費用を確認し、日程を調整して工事へ進みます。

よくある質問
石油給湯器からガス給湯器へ交換できますか?
交換できます。ただし、都市ガスまたはLPガスを利用できるか、ガス配管・メーター、設置場所、排気、給水・給湯配管などを現地確認する必要があります。灯油タンクを撤去する場合は、撤去・残油処理・処分費も確認してください。
石油給湯器からガス給湯器にすると費用はいくらですか?
一律の金額では判断できません。給湯器本体と基本工事費に加え、ガス配管の新設・延長、ガスメーター、排気部材、配管変更、ドレン、灯油タンク撤去などが必要になる場合があります。見積書で項目ごとの金額を確認してください。
既存の灯油タンクはそのまま残せますか?
残すこと自体は、ほかの石油機器を使うかなどの状況によって判断します。給湯器だけで灯油を使わなくなる場合は撤去を検討できますが、残油や灯油配管の処理が必要です。撤去費用が見積もりに含まれるか確認してください。
都市ガスとLPガスでは、どちらを選べばよいですか?
住宅で利用できるガスの種類と供給条件を先に確認します。都市ガスは本管からの引込可否、LPガスは容器置場・供給契約・配管計画の確認が必要です。料金や工事条件は地域・契約によって異なるため、利用可能な選択肢を比較してください。
石油給湯器の煙突や配管はガス給湯器でも使えますか?
そのまま使えるとは限りません。ガス給湯器は機種や設置方式ごとに給排気、排気方向、配管接続の確認が必要です。既存の煙突や配管を自己判断で流用せず、機器の設置工事説明書に沿って施工できるか業者に確認してください。
エコジョーズに交換すると必ず光熱費が下がりますか?
必ず下がるとは断定できません。高効率型は燃料使用量を抑える選択肢ですが、地域や契約単価、家族人数、湯の使用量、給湯効率で結果が変わります。また、ドレン排水の処理が必要になるため、初期工事費と今後の燃料費を分けて比較してください。
交換・修理を決める前に確認したいこと
石油給湯器からガス給湯器へ交換できます。ただし、ガスの供給可否、ガス配管・メーター、設置方式、排気、ドレン、灯油タンク撤去などを確認する必要があり、通常の給湯器交換より工事内容が増える場合があります。
最終的には、現在の型番・使用年数・設置状況・必要機能をそろえ、同じ条件で工事込み総額を比較すると判断しやすくなります。
給湯器・ボイラーの修理・交換を相談する
型番、症状、使用年数、設置場所が分かる写真があると確認が進めやすくなります。
参考にした情報
メーカー・省庁・自治体などの公式情報を中心に確認しています。
- 経済産業省|公式情報
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/enterprise/equipment/toprunner/14_gasonisui.html確認内容:仕様・条件・安全上の注意など、記事内の事実確認に使用しました。
- 東京ガス|公式サイト
https://home.tokyo-gas.co.jp/housing/exchange/waterheater/index.html確認内容:仕様・条件・安全上の注意など、記事内の事実確認に使用しました。
- 経済産業省|公式情報
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/media/data/2023_winter/setsudenmenu_katei02.pdf確認内容:仕様・条件・安全上の注意など、記事内の事実確認に使用しました。
- 経済産業省|公式情報
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/enterprise/equipment/council/pdf/040506gas_cooking_appliance_heaters.pdf確認内容:仕様・条件・安全上の注意など、記事内の事実確認に使用しました。
- 経済産業省|公式情報
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/enterprise/equipment/toprunner/en/14_gasonisui.html確認内容:仕様・条件・安全上の注意など、記事内の事実確認に使用しました。
- 経済産業省|公式情報
https://www.enecho.meti.go.jp/committee/council/basic_policy_subcommittee/2025/069/069_005.pdf確認内容:仕様・条件・安全上の注意など、記事内の事実確認に使用しました。







