まず確認したい結論
ガスと灯油のどちらが安いかは一概に言えません。都市ガスが既に引き込まれている家はガス化の工事負担を抑えられる場合があり、灯油タンクや送油管を流用できる家は灯油給湯器への更新が有利になる場合があります。LPガスは契約先ごとの差が大きいため、現在の請求明細と実際の灯油購入単価で比較してください。
ガスと灯油は、燃料単価だけでなく総額で比べる
「ガスと灯油どちらが安いか」を考えるとき、最初に見るべきなのは1リットル・1立方メートルあたりの単価ではありません。給湯器の交換では、本体価格にリモコン、標準工事、既存機器の撤去、配管や給排気設備の変更などが加わります。さらに使い始めてからは、燃料費だけでなく、給油や点検の手間も続きます。
安さを判断する基準は、「本体+工事」と「使用期間中の燃料費」を分けて確認することです。同じガスでも都市ガスとLPガスでは料金体系が異なり、LPガスは販売店や地域による差が大きくなります。灯油も店頭購入か配達か、購入時期や地域によって実際の単価が変わるため、全国一律の金額で判断することはできません。
比較に使う数字は、ガスなら直近の請求書にある基本料金・従量料金・設備料金、灯油なら直近の購入単価と年間使用量です。燃料の種類だけでなく、現在の請求実績を基準にしてください。
初期費用は本体価格より設置条件で差が出る
給湯器本体の価格を比べるだけでは、交換総額は分かりません。号数、給湯専用か追いだき付きか、屋外壁掛形か据置形か、リモコンを交換するかによって必要な機器が変わります。ガス給湯器と灯油給湯器で、同じ用途・同じ機能・同じ設置形態を揃えなければ、カタログ上の価格差は比較材料として不十分です。
ノーリツの掲載例では、ガス給湯専用機「GQ-C32WX」に希望小売価格28万6,880円、エコフィール石油給湯機「OX-CH」シリーズに35万3,300円の例があります。ただし、号数や機能、設置形態、リモコン、工事費の条件が揃った比較ではありません。この価格例だけを見て、ガスの方が必ず安い、または灯油の方が高いとは判断できません。
現在都市ガスを使っている住宅で、ガス管や設置場所をそのまま利用できる場合は、ガス給湯器への交換で追加工事が小さく済むことがあります。一方、灯油タンク、送油管、給排気筒を適切な状態で流用できる住宅なら、石油給湯器への更新が工事面で有利になる場合があります。反対に、燃料を変更する場合は、既存設備の撤去や新しい配管・タンク・接続工事が必要になる可能性があります。
ガス給湯器と灯油給湯器の費用・手間を比較する
| 比較項目 | ガス給湯器 | 灯油給湯器 |
|---|---|---|
| 初期費用 | 都市ガス配管などを流用できるかで変わる。LPガスでは供給設備や契約条件も確認する。 | 灯油タンク・送油管・給排気設備を流用できるか、撤去や新設があるかで変わる。 |
| 燃料費 | 都市ガスとLPガスで料金体系が異なる。LPガスは契約先ごとの差が大きい。 | 店頭・配達、地域、購入時期で単価が変わる。年間使用量も確認する。 |
| 補給の手間 | 配管供給のため、通常は灯油のようなタンクへの給油作業がない。 | タンク残量の確認と給油・配達手配が必要。給油動線も設置条件になる。 |
| 設置条件 | ガス種、供給可否、ガス管、排気方向を確認する。 | タンク置場、送油管、給油スペース、凍結対策、排気設備を確認する。 |
| 効率 | エコジョーズかどうかで燃料の使い方が変わる。 | エコフィールは熱効率95%とされ、従来型より灯油使用量を抑える設計。 |
この表のように、ガスは補給の手間を抑えやすい一方、LPガスでは契約料金を確認しなければなりません。灯油はタンクや配達の管理が必要ですが、既存の灯油設備を活かせるなら交換時の工事条件が有利になる場合があります。どちらか一方に一般的な優位性があるというより、住宅の現在の設備と地域の料金が判断を左右します。
毎月の燃料費は都市ガス・LPガス・灯油を分けて考える
ガスを比較するときは、都市ガスとLPガスを一括りにしないでください。LPガスは、2026年7月31日公表の全国平均で、基本料金込み10立方メートルあたり9,785円(税込)という例があります。一方、同じ使用量でも北海道は11,569円、関東は9,227円でした。これは地域差を示す例であり、個別住宅の料金をそのまま表すものではありません。
LPガスは全国平均ではなく、自宅の請求書にある基本料金と従量料金で計算するのが基本です。使用量が同じでも、契約先、地域、料金メニューによって負担は変わります。料金明細に設備料金が記載されている場合は、その内訳も確認してください。LPガス料金は透明化に向けた制度改正が進められていますが、既存契約には経過措置があるため、制度だけで自宅の請求額を判断しないことが重要です。
灯油は、資源エネルギー庁の石油製品価格調査で地域別の小売価格を確認できます。ただし、実際に支払う金額は、店頭購入か配達か、配達先や販売店の条件、購入時期によって異なります。灯油の年間費用を見積もるときは、地域相場を参考にしつつ、普段利用している販売店の配達単価を確認してください。
燃料費の比較では、単価に給湯量を掛けるだけでは足りません。家族人数、入浴回数、シャワーの使用時間、追いだきの頻度、台所や洗面所での使用量が変われば、年間消費量も変わります。また、ガス側はエコジョーズ、灯油側はエコフィールなど、高効率機かどうかも見積もりに含めて確認します。
高効率給湯器を選ぶときの見方
灯油給湯器のエコフィールは、排熱を利用して熱効率を高める設計で、熱効率95%とされています。従来型と同じ灯油給湯器でも、機種の方式が違えば燃料使用量の見方が変わります。交換時は「石油給湯器かどうか」だけでなく、エコフィールに該当するか、希望する給湯能力や追いだき機能に対応するかを確認してください。
ガス給湯器では、エコジョーズかどうかが比較材料になります。エコジョーズは排熱を利用する高効率タイプですが、機器代だけでなく、ドレン排水の処理など設置条件の確認が必要です。既存機器からの交換で追加工事が生じるかは、設置場所と配管の状態によって変わります。
高効率機は燃料費だけでなく、本体価格と追加工事を含めて判断します。燃料費が下がる可能性があっても、使用量が少ない住宅では初期費用との差が回収できる期間が長くなることがあります。反対に、給湯量が多い住宅では効率の差が比較に影響しやすいため、直近1年の燃料使用量を準備して施工店に試算してもらうと判断しやすくなります。
ガスから灯油、灯油からガスへ変更するときの追加工事
燃料種を変える場合、給湯器本体を交換するだけでは終わらないことがあります。灯油からガスへ変更するなら、ガス供給の可否、ガス管の新設や延長、既存タンクの撤去・処分、機器の設置場所と排気方法を確認します。都市ガスが道路や敷地まで来ていても、宅内への引き込み状況によって工事内容は変わります。
ガスから灯油へ変更する場合は、屋外タンクの置場、送油管の経路、給油車やポリタンクの動線、タンク周辺の安全性、凍結対策を確認します。タンクを置ける場所があっても、給油しにくい、送油管を長く引き回す、周囲の障害物で点検しにくいといった条件があれば、見積もりや使い勝手に影響します。
燃料種の変更や燃焼機器の設置を自己判断で行わないでください。ガス管、送油管、給排気設備、タンクの撤去・設置は、燃料種と機器に合った施工が必要です。必ず販売施工店に現地確認を依頼し、必要な追加工事を見積書に明記してもらいましょう。
見積もりで比較すべき項目と準備する情報
複数の見積もりを比べるなら、総額だけでなく、どこまで含まれているかを揃えます。本体、リモコン、標準工事、既存機器の撤去、処分費、配管工事、保温や凍結対策、タンク関連工事、燃料種変更に伴う工事を分けて記載してもらうと、業者ごとの差が見えやすくなります。
見積もり前には、現在の給湯器の型番が読める写真、給湯器全体と周囲の設置写真、配管・給排気筒・灯油タンク・ガス管の写真を用意します。型番は本体の前面や側面にある銘板で確認できることがあります。写真だけで確定できない場合もあるため、現地調査で確認する項目をあらかじめ質問しておくと安心です。
あわせて、都市ガス・LPガス・灯油のどれを使用しているか、家族人数、追いだきや床暖房の有無、直近1年の燃料使用量と請求額を伝えます。灯油の場合は、タンク容量や給油方法、配達単価も重要です。ガスの場合は、LPガスの請求書に基本料金・従量料金・設備料金の内訳があるかを確認します。
比較表には、「現状維持で交換」「燃料種を変更」「高効率機へ変更」の3パターンを並べると、初期費用と燃料費の違いを検討しやすくなります。燃料費は販売店に、直近の使用量を基にした試算条件を明記してもらいましょう。
ガスと灯油のどちらを選ぶか決める基準
都市ガスが既に住宅へ引き込まれ、ガス管や設置条件を流用できるなら、ガス給湯器は給油作業を減らせる選択肢になります。ただし、都市ガスの供給区域や宅内配管の状態を確認する必要があります。LPガスの場合は、現在の契約料金と設備料金を確認し、灯油の年間購入費と同じ使用条件で比較してください。
灯油タンクと送油管があり、タンクの状態や設置場所に問題がなければ、灯油給湯器への交換が工事面で有利になる場合があります。一方で、給油の手配や残量管理を負担に感じる場合、タンクを置く場所が確保しにくい場合は、燃料費だけでなく日常の手間も含めて検討する必要があります。
最終的には、現在の設備を活かした場合の交換総額と、燃料種を変えた場合の追加工事費を並べて判断するのが現実的です。「灯油は常に安い」「ガスは必ず便利」と決めつけず、自宅の料金明細、年間使用量、設置写真、希望する機能を揃えて見積もりを比較してください。
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相談前に型番・タンク・配管の写真を確認
本体全体、型番ラベル、灯油タンク、送油管、配管、排気、設置スペースを撮影すると、修理・交換・追加工事の切り分けに役立ちます。
無理な分解や自己修理はしない
燃料、電気、水道、排気に関わる内部作業は無理に行わず、灯油臭、黒煙、異常燃焼、水漏れなどがある場合は使用を止めて専門業者へ相談してください。
相談から交換までの流れ
型番と設置状況を確認したうえで、交換機種・工事条件・費用を確認し、日程を調整して工事へ進みます。

よくある質問
ガス給湯器と灯油給湯器は、結局どちらが安いですか?
一概には決められません。都市ガス・LPガス・灯油の単価、家族の給湯量、給湯器の効率、既存のガス管や灯油タンクを流用できるか、追加工事の有無で結果が変わります。燃料費だけでなく、本体・工事費を含めて比較してください。
LPガスと灯油を比較するとき、何を確認すればよいですか?
LPガスの請求書にある基本料金・従量料金・設備料金の内訳と、直近1年の使用量を確認します。灯油は普段の購入先の店頭・配達単価と年間購入量を使います。同じ給湯量を前提に、給湯器の効率と交換工事費も含めて比較します。
ガスから灯油に変更すると、どのような工事が必要ですか?
灯油タンクの設置、送油管の接続、給排気設備の確認、既存ガス給湯器やガス配管の撤去・処理などが必要になる可能性があります。タンクの置場や給油動線、凍結対策も現地で確認する必要があります。
灯油からガスに変更すると、追加費用は発生しますか?
ガス供給の可否や宅内配管の状態によって、ガス管の新設・延長、既存灯油タンクの撤去・処分、機器設置に伴う工事が発生する可能性があります。必要な工事は住宅ごとに異なるため、現地調査付きの見積もりで確認してください。
エコジョーズとエコフィールは燃料費の比較に関係しますか?
関係します。エコジョーズはガス、エコフィールは灯油の高効率タイプで、従来型とは燃料の使い方が異なります。機器価格や追加工事も含め、直近の使用量を前提に燃料費の試算を依頼してください。
交換・修理を決める前に確認したいこと
ガスと灯油のどちらが安いかは一概に言えません。都市ガスが既に引き込まれている家はガス化の工事負担を抑えられる場合があり、灯油タンクや送油管を流用できる家は灯油給湯器への更新が有利になる場合があります。LPガスは契約先ごとの差が大きいため、現在の請求明細と実際の灯油購入単価で比較してください。
最終的には、現在の型番・使用年数・設置状況・必要機能をそろえ、同じ条件で工事込み総額を比較すると判断しやすくなります。
給湯器・ボイラーの修理・交換を相談する
型番、症状、使用年数、設置場所が分かる写真があると確認が進めやすくなります。
参考にした情報
メーカー・省庁・自治体などの公式情報を中心に確認しています。
- ノーリツ|製品情報
https://www.noritz.co.jp/product/kyutou_bath/oil/kyutou_eco/kyutou_ch.html確認内容:製品仕様・交換条件・費用判断に関わる公式情報を確認しました。
- 経済産業省|公式情報
https://www.enecho.meti.go.jp/about/energytrends/202506/html/s-1-4.html確認内容:製品仕様・交換条件・費用判断に関わる公式情報を確認しました。
- リンナイ|価格改定資料(PDF)
https://www.rinnai.co.jp/releases/2026/0612/images/202609price.pdf確認内容:製品仕様・交換条件・費用判断に関わる公式情報を確認しました。
- 経済産業省|公式情報
https://www.enecho.meti.go.jp/statistics/gas/ga002/確認内容:製品仕様・交換条件・費用判断に関わる公式情報を確認しました。
- ノーリツ|製品情報
https://www.noritz.co.jp/product/kyutou_bath/gas/gas_eco/確認内容:製品仕様・交換条件・費用判断に関わる公式情報を確認しました。
- 経済産業省|公式情報
https://www.enecho.meti.go.jp/category/resources_and_fuel/distribution/notice/170130/handout/pdf/handout_001.pdf確認内容:製品仕様・交換条件・費用判断に関わる公式情報を確認しました。







