高温水供給式の給湯器は、約80℃の高温水を浴槽へ足して湯温を上げるタイプです。浴槽のお湯を本体へ戻して温め直す追い焚きとは仕組みが異なり、冷めた残り湯を水位を変えずに沸かし直す用途には向きません。
交換では、まず本体銘板の型番・ガス種・号数と設置状況を確認します。そのうえで浴槽側の接続、給排気条件、配管位置を調べ、同等の高温水供給式を選ぶか、追い焚き付きへの変更を検討します。価格は本体だけでなく、リモコン・必要部材・撤去処分・工事費まで含めて比較することが重要です。
まず確認したい結論
高温水供給式は「熱いお湯を足して浴槽を温める方式」、追い焚きは「浴槽のお湯を循環させて温め直す方式」です。今の使い方に不満がなければ同等タイプへの交換が基本です。残り湯を沸かし直したい場合は追い焚き付きも候補になりますが、配管工事や建物上の制限を先に確認する必要があります。
高温水供給式給湯器とは?最初に知りたい答え
高温水供給式とは、約80℃の高温水を浴槽へ足し、浴槽内のお湯と混ぜることで湯温を上げる給湯器です。一般に「高温さし湯」と呼ばれる機能を備えています。浴槽のお湯を給湯器へ戻して加熱するのではなく、新しい高温水を加える点が大きな特徴です。
そのため、入浴中にお湯が少し冷めたときは高温さし湯で温められますが、さし湯をした分だけ浴槽の水量が増えます。すでに浴槽が満水に近い場合は、あふれないように水位を確認し、必要に応じてお湯を減らしてから使用します。運転方法や一回のさし湯量、停止方法はリモコンと機種によって異なるため、現在の取扱説明書に従ってください。
高温水供給式は、分類上は追い焚き機能を持たない給湯器です。一方、通常の給湯機能も備えているため、台所・洗面所・シャワーなどへの給湯に使えます。現行機種としてはリンナイのRUJ-Aシリーズ、ノーリツのGQ-AWXなどが確認できます。リンナイのRUJ-Aシリーズでは、約80℃の高温水供給と自動湯はり機能が案内されています。ただし、自動湯はりの内容、設定できる湯量、リモコンの操作方法はすべての製品で共通ではありません。
高温さし湯の運転中は、浴槽の接続口付近から非常に熱いお湯が出る可能性があります。入浴者がいるときは、機種の注意表示と取扱説明書を確認し、接続口付近に身体を近づけないようにしてください。
高温水供給式と追い焚きの違い
両者はどちらも浴槽のお湯を温かくできますが、温め方と配管構造が違います。交換機種を選ぶときは、機能名だけでなく「浴槽のお湯を循環させるか」「新しいお湯を足すか」で見分けると理解しやすくなります。
| 比較項目 | 高温水供給式 | 追い焚き付き |
|---|---|---|
| 温め方 | 約80℃の高温水を浴槽へ足して温度を上げる | 浴槽のお湯を給湯器との間で循環させて加熱する |
| 温めたときの水位 | 加えたお湯の分だけ上がる | 基本的に大きく増えない |
| 冷めた残り湯 | 高温水を足して温めることはできるが、水位も上がるため沸かし直しには不向き | 循環可能な水位があれば温め直しやすい |
| 浴槽まわりの配管 | 高温さし湯用の接続と配管を使用する | 往き・戻りの追い焚き配管を使用する |
| 交換の基本方針 | 同等方式なら既存条件を生かせる可能性が高い | 高温水供給式から変更する場合は配管などの確認が必要 |
高温水供給式でも、冷めたお湯へ高温水を加えれば湯温は上がります。ただし、浴槽内の同じお湯だけを再加熱しているわけではありません。前日の残り湯を満水に近い状態から温めたい、家族の入浴間隔が長く何度も温め直したいといった場合は、追い焚き付きのほうが使い方に合う可能性があります。
反対に、残り湯をほとんど使わず、現在も高温さし湯で不便を感じていないなら、同等の高温水供給式へ交換するほうが工事範囲を抑えやすくなります。どちらが一律に優れているということではなく、入浴方法と既存設備に合うかで判断します。
交換の前に型番・ガス種・号数を確認する
交換機種を探す前に、現在の給湯器を特定します。先にメーカー名だけで候補を絞ると、設置方式や給排気条件が合わず、見積もりをやり直すことがあります。まず本体の銘板を見て、次の情報を確認してください。
- メーカー名と型番
- 都市ガス・LPガスの別
- 号数
- 製造年月または製造年
- 屋外壁掛形、据置形、PS設置形などの設置区分
- リモコンの型番と現在使っている機能
銘板は本体前面や側面に貼られていることがあります。文字が薄い場合は、読める部分だけを推測して入力するのではなく、銘板全体を明るい場所で撮影してください。型番の末尾には設置方式、給排気、ガス種などを区別する記号が含まれる場合があり、似た型番でも同じ製品とは限りません。
写真は、銘板だけでなく給湯器全体、正面から見た周囲、下部の配管、リモコン、浴槽内の接続口も残しておくと現地確認が進みやすくなります。集合住宅でPS内に設置されている場合は、扉を開けた状態の全景と、排気口の位置が分かる写真も役立ちます。ただし、固定されている前板や配管カバーを自分で取り外す必要はありません。
号数は同時に使うお湯の量で決める
給湯器の号数は、水温より25℃高いお湯を1分間に何リットル出せるかを示す目安です。たとえば、シャワーと台所で同時にお湯を使う家庭では、一か所だけで使う家庭より大きな給湯能力が求められます。水温が低い時期は同じ号数でも出せる湯量が少なくなるため、冬場の使い方も考慮します。
交換では現在と同じ号数を基準にできますが、家族が増えた、同時使用が増えた、以前から湯量不足を感じていた場合は見直す余地があります。反対に、使用人数が減ったからといって、設置状況を確認せず号数だけを下げるのは適切ではありません。ガス配管の能力や建物側の条件も含めて選定します。
設置できるかは浴槽と給排気の条件まで確認する
既存機種と同じ高温水供給式を選んでも、型番だけで設置可能とは判断できません。戸建てか集合住宅か、壁掛形か据置形か、PS内か、排気をどの方向へ出すかによって適合機種が変わります。機器の外形寸法だけでなく、点検や排気のために必要な空間も確保する必要があります。
特に集合住宅のPS設置では、開口寸法、本体の固定方法、排気口の位置、扉との干渉を確認します。外観が似ていても、標準排気形と排気方向を変更した製品をそのまま置き換えられるとは限りません。建物の共用部分に関わる作業は、管理規約や管理会社への確認が必要になる場合があります。
浴槽と給湯器の位置関係も重要です。ノーリツのGQ-AWXでは、浴槽が本体より上方にある場合は設置できない旨が案内されています。この条件をすべての高温水供給式へそのまま当てはめるのではなく、検討している機種ごとの設置基準を確認してください。
また、浴槽側の接続口、給湯器までの配管経路、配管の長さや劣化状態も調査対象です。既存配管を利用できれば工事範囲を抑えられますが、漏れや傷みがある場合、位置が新しい機種の施工条件に合わない場合は部材交換や配管の手直しが必要です。
現地調査で確認したい範囲
- 給湯器本体の設置方式、寸法、周囲の空間
- 排気口の向きと周辺の窓・開口部
- ガス管、給水管、給湯管、浴槽側配管の接続状況
- 浴槽の接続口と給湯器との高低差
- リモコン配線と設置場所
- 搬入経路、作業場所、管理上の制限
高温水供給式の交換機種を選ぶ手順
選定は、メーカー名や本体価格からではなく、既存設備との適合から進めます。検索画面に表示される製品名が似ていても、ガス種や設置仕様が違えば交換候補にはなりません。
- 現在の給湯器を特定する
銘板から型番、ガス種、号数、製造年を確認し、設置状況と浴槽側を写真に残します。
- 高温水供給式を継続するか決める
現在の高温さし湯に不満がなければ、同等方式を第一候補にします。水位を増やさず残り湯を温めたい場合は、追い焚き付きへの変更可能性も調べます。
- 必要な号数を決める
使用人数だけでなく、シャワー・台所・洗面所でのお湯の同時使用を確認します。現在の号数で不足を感じていないかも判断材料です。
- 設置仕様を合わせる
壁掛形、据置形、PS設置形などの区分と給排気方式を合わせます。型番はシリーズ名だけでなく、末尾の仕様まで確認します。
- リモコンと必要機能を確認する
自動湯はり、高温さし湯、湯量設定など、普段必要な機能を整理します。既存リモコンを新しい本体へそのまま使用できるとは限らないため、適合リモコンを見積もりに含めます。
現行の代表的な高温水供給式にはリンナイRUJ-Aシリーズ、ノーリツGQ-AWXがありますが、同じシリーズ内でも号数や設置仕様が分かれます。メーカーをまたいだ交換が可能かどうかも、既存配管、リモコン配線、設置金具、排気条件を確認して判断します。
「今の型番に近い」という理由だけで注文せず、後継候補の型番全体と設置条件を照合することが重要です。製品の供給状況や仕様は変わるため、見積もり時点で選定された機種の仕様書を確認してください。
追い焚き付きへ交換したほうがよいケース
高温水供給式から追い焚き付きへの変更を検討しやすいのは、家族の入浴時間が離れており、お湯を何度も温め直す家庭です。高温水を足すたびに水位が上がることが負担になっている場合や、冷めた残り湯を活用したい場合にも、追い焚き機能が使い方に合う可能性があります。
ただし、給湯器本体を交換するだけで追い焚きが使えるわけではありません。浴槽のお湯を給湯器へ送り、加熱後に浴槽へ戻すための配管と、対応する浴槽接続部が必要です。現在の高温さし湯用配管をそのまま追い焚き用の往復配管として使えるとは限りません。
戸建てでは、浴槽まわりや外壁までの配管経路を確保できるかを確認します。壁や床の仕上げ、浴槽の構造によっては工事範囲が広がります。集合住宅では、PS内の設置条件に加え、共用部分への施工可否、管理規約、配管経路を調べなければなりません。建物の構造上、変更できないケースもあります。
変更を希望する場合は、高温水供給式の同等交換と追い焚き付きへの変更について、工事内容を分けた見積もりを取ると判断しやすくなります。本体価格だけで比べず、浴槽接続部、配管工事、壁面などの復旧、リモコンを含む総額と工期を確認します。
一方、普段は毎回新しく湯はりをし、高温さし湯を使う機会が少ない家庭では、追い焚きへの変更費用に見合う効果が小さいこともあります。今後どのように入浴したいかを決めてから、工事可能性と費用を確認する順番が無駄を抑えやすい方法です。
故障時は修理と交換のどちらを選ぶか
お湯が出ない、高温さし湯が動かない、自動湯はりが途中で止まるといった症状があっても、原因は一つではありません。本体の故障だけでなく、リモコン、配管、給水状況、ガス供給などの確認が必要です。表示が出ている場合は、リモコンの表示内容と発生時の状況を記録し、型番と一緒に修理窓口へ伝えます。
家庭用給湯機器の設計上の標準使用期間は、製造から10年が目安です。これは無償修理期間や、10年間の使用を保証する意味ではありません。設置環境や使用頻度によって状態は変わりますが、修理か交換かを考える一つの区切りになります。
| 状況 | 検討の方向 |
|---|---|
| 使用年数が比較的浅く、故障箇所と修理費が明確 | 部品供給と修理後の見通しを確認して修理を比較 |
| 製造から10年に近い、または超えている | 修理費だけでなく交換見積もりも取り、今後の使用を含めて判断 |
| 複数回の不具合、異なる箇所の故障が続く | 修理を重ねる総額と交換費用を比較 |
| 必要な修理部品を確保できない | 適合する後継機種への交換を優先して検討 |
| 現在の号数や高温さし湯に不満がある | 故障対応を機に能力や方式の見直しを検討 |
使用年数が浅い場合でも、現場を見ずに修理可能とは断定できません。反対に、10年を超えたら直ちに使用できなくなるわけでもありません。製造年、症状、部品供給、修理費、ほかの箇所の状態を合わせて判断します。
ガス臭、焦げたような臭い、すす、異常な音、繰り返す点火不良などがある場合は使用を続けないでください。無理に再操作や分解をせず、安全を確保したうえで契約中のガス事業者や機器の修理窓口へ連絡します。
工事費込み価格は見積もりの範囲をそろえて比べる
給湯器の希望小売価格には、一般に取付工事、交換に必要な追加部材、リモコンなどが含まれていません。販売価格が安く見えても、工事後の支払総額が同じとは限りません。高温水供給式の交換費用は、機種の号数、設置方式、リモコン、既存配管の状態、搬入・作業条件によって変わります。
見積もりを比べるときは、少なくとも本体型番、ガス種、リモコン型番、標準工事の範囲をそろえます。そのうえで、次の項目が含まれているか確認してください。
- 給湯器本体と対応リモコン
- 既存機器の取り外し、搬出、処分
- 本体の取付工事と配管接続
- 必要な配管部材、設置金具、排気関連部材
- 浴槽側の接続や配管手直し
- 試運転、漏れ確認、操作説明
- 追加工事が発生する条件と金額の扱い
「標準工事込み」と書かれていても、その範囲は見積もりごとに異なります。PS設置、排気方向の変更、高所作業、狭い場所での作業、配管の延長や交換などが追加になる場合があります。現地を確認する前の概算では、追加費用が発生する条件も聞いておくと安心です。
比較すべきなのは本体の値引率ではなく、適合機種を必要な工事で設置したときの総額です。同じ工事範囲であることを確認し、保証の対象が本体・施工のどこまでか、故障時の連絡先も見ておきます。
相談前に写真と希望をそろえると選定が早い
交換相談では、現在の型番と設置写真があると、同等機種の候補や現地調査で見るべき点を整理しやすくなります。相談時は、銘板、本体全体、周囲の設置状況、下部配管、浴槽の接続口、台所・浴室リモコンの写真を用意してください。集合住宅の場合は、PSの扉と排気口の位置も分かるように撮影します。
あわせて、現在困っていることを伝えます。「高温さし湯は使えるが水位が上がるのが不便」「冬にシャワーと台所を同時使用すると湯量が減る」「自動湯はりだけ動かない」など、具体的な状況があると、同等交換・機能変更・修理のどれを比較すべきか判断しやすくなります。
確認の順番は、型番とガス種の特定、設置条件と浴槽配管の確認、適合機種の選定、工事費込み見積もり、修理または交換の判断です。追い焚きへ変更したい場合も、先に工事可能性を確認してから製品を選びます。この順番なら、購入後に設置できないと分かる事態や、必要部材が見積もりから漏れるリスクを抑えられます。
あわせて確認したい関連記事

設置タイプ別の工事費込み価格も確認
壁掛け、据え置き、マンションPS設置では交換できる機種や工事内容が異なります。既設給湯器に近い設置タイプを確認してください。
相談前に型番と設置写真を確認
本体全体、型番シール、リモコン、本体下の配管、設置スペースを撮影しておくと、修理か交換か、後継機や工事条件を確認しやすくなります。

無理な分解や自己修理はしない
ガス、水道、電気、排気に関わる内部作業は無理に行わず、異臭、ガス臭、水漏れ、異常燃焼などがある場合は使用を止めて専門業者へ相談してください。
相談から交換までの流れ
型番と設置状況を確認したうえで、交換機種・工事条件・費用を確認し、日程を調整して工事へ進みます。

給湯器 高温水供給式でよくある質問
高温水供給式の給湯器で追い焚きはできますか?
追い焚きと同じ循環加熱はできません。高温水供給式は、約80℃の高温水を浴槽へ足して湯温を上げます。温めた分だけ浴槽の水位が上がる点も追い焚きとの違いです。
冷めた残り湯を温め直せますか?
高温水を足して湯温を上げることはできますが、浴槽内の同じお湯を循環加熱するわけではありません。残り湯が多いと水位が上がるため、満水に近い場合はお湯を減らす必要があります。残り湯を頻繁に沸かし直したい家庭には、追い焚き付きが向く可能性があります。
高温水供給式から追い焚き付きへ交換できますか?
配管経路、浴槽の構造、給湯器の設置場所、建物の制限を満たせば変更できる場合があります。ただし、本体交換だけでは対応できず、追い焚き用配管や浴槽接続部の工事が必要になることがあります。集合住宅では管理規約や共用部分への施工可否も確認してください。
交換する給湯器の号数は今と同じでよいですか?
現在の湯量に不満がなければ同じ号数が基準になります。家族数やお湯の同時使用が増えた場合は、号数の見直しも検討できます。ただし、号数変更にはガス配管や設置条件の確認が必要です。
マンションのPS設置でも交換できますか?
PSの開口寸法、本体の固定方法、排気口の位置、給排気方式に合う機種であれば交換できる可能性があります。外形が似ているだけでは判断できないため、既存型番とPS全体、排気部分の写真を用意し、現地条件を確認してもらう必要があります。
まとめ
高温水供給式は、約80℃の高温水を足して浴槽を温める方式です。追い焚きのように浴槽のお湯を循環加熱しないため、温めると水位が上がります。現在の使い方に問題がなければ、同等の高温水供給式への交換が基本です。
交換時は本体銘板の型番・ガス種・号数を確認し、給排気方式、PS寸法、浴槽との高低差、配管状態まで調べます。そのうえで適合機種を選び、本体・リモコン・必要部材・撤去処分・工事を含む総額を比較してください。製造から10年前後で不具合がある場合は、修理だけでなく交換見積もりも取ると判断しやすくなります。

給湯器の修理・交換を相談する
現在の型番、表示内容、症状、設置場所が分かる写真があると確認が進めやすくなります。

参考にした公式情報
確認日:2026-08-21。仕様・操作・価格・制度は機種や時期によって変わるため、詳細は各公式ページをご確認ください。











