給湯器を交換するとき、「ガスと灯油は結局どちらが安いのか?」と迷う方は多いです。ただし、この比較は燃料の1L・1㎥あたりの価格だけを見ても答えが出ません。
実際には、都市ガスかLPガスか、灯油の配達価格はいくらか、現在どちらの燃料設備があるか、家族がお湯をどれくらい使うか、高効率給湯器を選ぶかで結果が変わります。
2026年8月時点の結論は、「今の燃料をそのまま使って同等交換するなら初期費用を抑えやすい。ランニングコストは地域の実際の燃料単価で計算しないと、ガス・灯油のどちらが安いとは断定できない」です。
なお、2026年は都市ガス料金や灯油などの燃料価格に政府の支援措置が入る時期があり、前年の価格表をそのまま現在の比較に使うとズレる可能性があります。見積もり時には、直近のガス料金表・灯油配達価格で比較してください。
給湯器はガスと灯油のどちらが安い?2026年8月時点の考え方
| 比較項目 | ガス給湯器 | 石油給湯器・灯油ボイラー |
|---|---|---|
| 燃料価格 | 都市ガス・LPガス・契約先で大きく違う | 地域・配達条件・購入方法で変動 |
| 初期工事 | 既存がガスなら同等交換しやすい | 既存が灯油なら同等交換しやすい |
| 燃料設備 | ガス配管・メーター等 | 灯油タンク・送油管が必要 |
| 燃料補給 | 通常は自動供給 | 灯油配送・残量管理が必要 |
| 高効率型 | エコジョーズ | エコフィール |
| 向きやすい条件 | 既存ガス配管あり・管理を簡単にしたい | 既存灯油設備あり・お湯の使用量が多い地域など |
ここで重要なのは、「ガス」を都市ガスとLPガスに分けることです。資源エネルギー庁によると、家庭用LPガス料金は販売事業者ごとに設定され、小売段階の配送費・人件費・保安費などが価格構成の6割超を占めます。都市ガスとLPガスを一つにまとめて灯油と比較すると、実態から離れやすくなります。
比較するときは「都市ガス vs 灯油」または「LPガス vs 灯油」と、自宅で実際に選べる燃料同士を比べてください。
燃料代だけで比較すると間違いやすい理由
1.1Lと1㎥はそのまま比べられない
灯油はL、ガスは㎥で請求されるため、「灯油120円、ガス180円だから灯油が安い」という比べ方はできません。それぞれの燃料が持つ熱量と、給湯器がその熱をどれだけお湯へ変えられるかを合わせて考えます。
2.給湯器の熱効率でも変わる
リンナイは高効率ガス給湯器エコジョーズについて、従来型のおよそ80%から給湯熱効率約95%へ向上すると案内しています。ノーリツも高効率石油給湯機エコフィールについて、給湯熱効率約95%を案内しています。燃料だけではなく、従来型か高効率型かでも年間使用量は変わります。
3.ガス料金には基本料金がある
都市ガス・LPガスでは、契約によって基本料金と従量料金があります。料理や暖房でも同じガスを使っている家庭では、給湯器だけを灯油へ変更してもガス契約自体は残る場合があります。
4.灯油にはタンク管理がある
灯油給湯器は、ホームタンク、送油管、ストレーナー、残量、サビや漏れなどを確認します。すでに正常なタンクがある家と、新規にタンク設置が必要な家では初期費用が違います。
自宅ではどちらが安いかを計算する方法
ガスと灯油をきちんと比較するなら、「燃料1単位あたりの価格」ではなく「同じ量のお湯を作るための費用」へ直します。
実効熱単価 = 燃料単価 ÷(燃料の発熱量 × 給湯熱効率)
ガスの発熱量は供給会社、灯油の標準発熱量は資源エネルギー庁の資料などを確認します。給湯熱効率は比較する機種の仕様表を使います。
都市ガスの場合
直近の検針票や料金表から、基本料金と従量料金を確認します。給湯だけでなくガスコンロ・床暖房も使用している場合は、毎月のガス請求額すべてを「給湯代」として比較しないようにします。
LPガスの場合
請求書に記載された基本料金・従量単価を確認します。LPガスは販売店・地域による差があるため、全国平均だけで自宅の給湯コストを決めないことが大切です。
灯油の場合
近所の店頭価格ではなく、実際にホームタンクへ配達してもらうなら配達価格で比較します。資源エネルギー庁は民生用灯油の給油所以外の価格を毎月調査しています。

相談前には、本体全体、型番シール、配管、リモコン、設置場所を撮影します。灯油給湯器なら灯油タンクと送油管、ガス給湯器なら設置方式や排気方向も分かると見積もりを比較しやすくなります。
ガス給湯器の工事費込み価格も同じ条件で比較する
ガス給湯器は、壁掛け・据置・マンションPSなど設置方式によって本体と工事内容が変わります。既存がガスなら、現在と同じ設置方式・号数・追い焚き機能で見積もった金額を比較の基準にします。
都市ガス管が来ていない住宅で「ガス給湯器の本体が安いからガスへ変更」はできません。LPガスを使う場合も供給契約や設備条件の確認が必要です。逆に、現在都市ガスを使っている家を灯油へ変更する場合は、灯油タンク・送油管・設置スペースが必要になります。
ガスから灯油・灯油からガスへ変更するときの費用
ガスから灯油へ変更する場合
石油給湯器本体だけでなく、ホームタンク、送油管、設置スペース、電源、排気条件などを確認します。既存ガス給湯器の撤去や、不要になるガス設備の扱いも確認が必要です。
灯油からガスへ変更する場合
都市ガスが利用できる地域か、既存ガス配管が給湯器設置場所まで来ているかを確認します。LPガスの場合は供給事業者との契約・設備条件も確認します。古い灯油タンクを撤去するなら、その費用も見積もりへ入れます。
燃料転換は「年間いくら下がるか」で回収期間を見る
たとえば燃料方式を変える追加工事が20万円かかり、年間の給湯燃料費が2万円下がる計算なら、単純計算では差額回収に10年かかります。逆に年間差が小さければ、燃料費だけを理由に転換するメリットは薄くなります。
回収年数 = 燃料転換で増える初期費用 ÷ 年間で下がると見込む燃料費で見ると判断しやすくなります。

どんな家庭ならガス・灯油を選びやすい?
現在ガス給湯器で特に不満がない
ガス配管があり、給湯能力・燃料費・設置スペースに大きな不満がなければ、同等のガス給湯器へ交換する方が燃料転換工事を増やさずに済みます。高効率型のエコジョーズへ変更して使用ガス量を抑える方法もあります。
現在石油給湯器で灯油設備が正常
灯油タンクと送油管がすでにあり、定期配送も利用できるなら、石油給湯器を継続する方法があります。高効率のエコフィールは排熱を再利用し、ノーリツでは給湯熱効率約95%を案内しています。
LPガス料金が高いと感じている
LPガスは販売店による料金差があるため、給湯器を灯油へ変更する前に現在の契約単価を確認します。ガス販売店の見直しが可能なケースと、給湯燃料そのものを変更するケースは分けて比較します。
灯油の補給・管理が負担になっている
高齢になり灯油残量の確認や配送手配が負担、タンクの老朽化も進んでいるという場合は、ランニングコストだけでなく管理のしやすさを含めてガスへ変更する価値があります。
寒冷地で大量にお湯を使う
寒冷地は冬の給水温度が低く、同じ量のお湯を作るにも必要な熱量が増えます。そのため燃料単価と給湯効率の差が年間費用へ出やすくなります。一方で凍結対策・配管保温・設置条件も費用へ影響するため、地域の施工条件まで含めて比べます。

2025年の価格だけで決めない方がよい理由
元の比較年度が2025年でも、現在は2026年8月12日です。資源エネルギー庁は灯油価格を継続調査しており、価格は毎月変動します。また2026年7月・8月・9月使用分には電気・都市ガス料金支援があり、都市ガスは8月使用分で18円/㎥の支援が案内されています。
灯油についても燃料油価格への支援措置があるため、ある月だけの価格を「今後ずっと続くランニングコスト」として10年分へ延ばさないことが大切です。
- 直近12か月の都市ガスまたはLPガス使用量・請求額
- 灯油なら年間購入量と実際の配達単価
- 給湯以外にガス・灯油を使っている設備
- 現在の給湯器型番・熱効率
- 交換候補の給湯熱効率
- 同等交換の工事総額
- 燃料転換した場合の追加工事総額
- 灯油タンク・ガス配管の更新費用
ガス・灯油の比較で一番避けたいのは、燃料費だけを数年分計算して、燃料転換に必要な工事費を入れ忘れることです。

ガスと灯油、どちらで交換するか迷っている方へ
給湯器の燃料方式を迷っている場合は、現在と同じ燃料で交換する見積もりと、燃料を変更する場合の見積もりを分けて比較すると判断しやすくなります。

ご相談時は、現在のメーカー・型番・燃料・家族人数・設置写真・直近の燃料単価を分かる範囲でお知らせください。
「ガスが安い」「灯油が安い」と最初から決めず、初期費用・年間燃料費・既存設備・今後の管理まで含めて比較します。
給湯器のガス・灯油比較でよくある質問
2026年はガス給湯器と灯油給湯器のどちらが安いですか?
全国一律では決まりません。都市ガス・LPガスの契約単価、灯油配達価格、お湯の使用量、給湯器の熱効率、既存設備によって変わります。自宅の直近単価で比較してください。
灯油はガスより燃料費が安いですか?
条件によって灯油が有利になることはありますが、必ずではありません。ガスは都市ガスとLPガスでも料金体系が異なるため、実際の契約単価と熱効率で比較する必要があります。
都市ガスとLPガスは同じ「ガス」として比較していいですか?
分けて考えた方がよいです。LPガスは販売事業者ごとに料金が設定され、地域・契約先による差があります。現在の請求書で単価を確認してください。
エコジョーズとエコフィールならどちらが省エネですか?
リンナイのエコジョーズ、ノーリツのエコフィールはいずれも給湯熱効率約95%をうたう高効率給湯器があります。どちらが安いかは燃料単価と使用量を含めて比較します。
灯油からガスへ変えると安くなりますか?
燃料費が下がっても、ガス配管や灯油タンク撤去など初期費用が増える場合があります。年間の削減額で追加工事費を何年で回収できるか確認してください。
ガスから灯油へ変えるときは何が必要ですか?
石油給湯器本体に加え、灯油タンク、送油管、設置場所などを確認します。既存設備によって工事範囲が変わるため現地確認が必要です。
給湯器が古い場合、燃料変更と同時に交換した方がいいですか?
燃料方式を変えるなら給湯器自体の交換が必要になるのが通常です。ただし、同じ燃料で修理・交換した場合との総額を比較してから判断してください。
見積もりは何をそろえれば比較できますか?
現在の型番、本体・配管・設置場所の写真、家族人数、直近の燃料単価、灯油タンクまたはガス配管の状態があると比較しやすくなります。
まとめ
ガス給湯器と石油給湯器のどちらが安いかは、燃料単価だけでは決まりません。都市ガス・LPガス・灯油の実際の単価、給湯熱効率、初期工事費、既存のガス配管・灯油タンク、家族のお湯使用量まで含めて比較します。
まず現在と同じ燃料で交換した総額を出し、そのうえで燃料転換案との差額と年間燃料費の差を比べると、価格だけに引っ張られず判断できます。
2026年8月12日に確認した公式情報
- 資源エネルギー庁 石油製品価格調査
- 資源エネルギー庁 2026年の電気・ガス・燃料価格支援
- 資源エネルギー庁 都市ガス・LPガスの価格動向
- リンナイ エコジョーズの給湯熱効率
- ノーリツ エコフィールの給湯熱効率
- 資源エネルギー庁 標準発熱量・炭素排出係数
燃料価格は変動し、地域・契約先によっても異なります。この記事の比較は特定の燃料が常に最安だと断定するものではなく、見積もり時点の実単価と設備条件で判断するための基準です。












